最近偶然、「地獄の黙示録」(Apocalypse Now)の未発表シーンをYoutubeで観ていて、スコット・グレンが出ていることにようやく気づいた。この俳優、不思議な俳優である(下:デニス・ホッパーと)。
 主役級として扱われるような格の俳優だが、傍に回って木偶の坊のようにもなる(Nashville)。
 最初に彼を認識した、「アーバン・カウボーイ」(Urban Cowboy)ではカリスマ性のある悪漢を演じ、完全に主役のジョン・トラボルタを食っていた。最後の結末では安っぽい形でやっつけられてしまうが、私はあれは嘘だと思った。そもそも映画はフィクションなのであるが、あれは後半部がトラボルタの想像上の世界として描かれてしまっている。偽善的で、トラボルタにとって都合よく、無理矢理な勧善懲悪で作為的な感じが否めない。なぜならそれは、スコット・グレン自身の屈折した存在感と演技の強烈さが設定された役柄を凌駕し、プロットを逸脱してしまっているからである。