報道写真展を見に行ったとき
紛争の地で身売りして生きていく女性の
ポートレートがあった。
綺麗な女性だから 悲惨さと痛ましさが
美化された哀しみになっていたが、
全てを放棄して今を生きているんだろうと思った。

報道写真展は何回 見に行っただろう。
兵隊と娼婦はお決まりのように
被写体として登場していた。

日本の製鉄所と遊廓は同時に同じ場所で繁栄している。
男は肉体労働へ、女は慰安…
いずれも 貧しい家庭から働きに出されてくる。

哀しい気持ちで来た地で、哀しい生活が始まるののに、遊廓の建物は現実から目をそらせ、
まやかしの城のように、きらびやかに
深層の心を誤魔化してくる。

どんな状況になっても
生き抜く人はいて、泥水あびながら
花を咲かせる人がいる。

報道写真展を見に行っていた頃
報道写真家 吉田ルイ子さんのエッセイを読んだ。
痛ましく悲壮感ある現実を皆に伝えることが
報道写真と思われているが、
吉田ルイ子さんは、戦地で写真を撮りながら
カメラを向けると目を背けたり 写真を嫌がる人の存在に気づく。

惨めな辛い心境の最中の姿など
見られたくない…

人として
自然な心境。
そして吉田ルイ子さんは自問自答する。

私個人も、凄惨な事実を知らせることと
被写体の人間としての胸中を知るきっかけになった一冊だった。


さて、
戦後混乱期の街娼の物語を書いた「肉体の門」
テレビで観月ありさ主演でドラマ化されたときの
テーマ曲。

西村由紀江 「生きること」


ちぃさんという方の素敵な演奏を見つけました。


西村由紀江さんの曲はすきだけど

爽やかであっさりしているのが

西村由紀江さんの音楽の世界だけど

この曲は ちょっと心が軋むような気分になる。


西村由紀江さんは

華やかで美しいピアニストだけど

少し どことなく切ない。

きけば、苦労もされて今があるらしい…

だけど 清々しく美しい、音楽の世界も。