さとしんの星日和

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古スコやB級品を使って星を楽しむブログです。

ずっと気になっていた古スコをオークションで落札しました。それはアストロ光学のR-51です。

 

わたくし的にはなかなか中古市場に出てこない人気のビンテージ望遠鏡だと思っていたので、大勢で競り合うことも無く比較的容易に落札できたのがとても嬉しいです。

 

 

それでは今回はこの望遠鏡をじっくりと紹介してゆきましょう。まずは梱包を開けて中身を出したところから。

 

 

付属品を含めて欠品している物はありません。かなり古いもので使用感はありますが、結構きれいに使用されていた様です。後でご説明しますがこの望遠鏡は口径5cmの屈折赤道儀で、おそらく当時最小の赤道儀でした。

まるでミニチュアの様な架台ですが、小さいくせに一切の手抜きの無い本格赤道儀でそれがこの望遠鏡の強烈な個性となって今でも人気があると思っています。

 

 

 

 

また、鏡筒は口径5cm焦点距離750mmでF15という昔の素敵な設計ですが、実物を手に取ってみるとずっしりと来る金属鏡筒で大変精巧に作られています。同じく古スコのカートン60Dを持っていますが、プラ鏡筒で作りもそれなりの物と比べると全く違う高級感があります。

ドロチューブは2段式で大変スムーズに動き、筒外焦点もたっぷりと取ってあるので直視でも天頂プリズムでもそのまま合焦します。アイピースはすり割り式ですが適度な固さですべり落ちることもありません。

その鏡筒の小ささや細さが写真では伝わらないので手に持ってみました。いかがでしょうか、こんな小さな鏡筒なのに丁寧に作られている、コレクション的な楽しみ方もできる鏡筒だと思います。

 

 

 

各部の汚れを拭き落としながら組み立ててみました。

 

 

あくまで個人の感想となりますが大変かっこいいと思います。このR-51は1960年代の終わりから1980年代中頃まで販売されていた、アストロ光学の屈折赤道儀のローエンド機種でいくつもの世代があります。

古スコで有名な某サイトの公開資料から類推すると、収納箱が木箱では無く段ボール、ファインダーが4倍10mm、赤緯微動がタンジェントスクリュー、赤経ハンドルがフレキシブルハンドルなどの仕様からこの望遠鏡は1970年代前半のバージョンではないかと思います。ちなみに1970年のカタログでは21,500円、1975年のカタログでは40,000円の定価となっておりました。

 

 

 

 

対物レンズは錫箔で分離された2枚玉アクロマートで、ちりとかは混入していますがカビや汚れは無くこれも中古にしては状態が良い方です。青色のコーティング色からおそらく1面シングルコートだと思います。フードは簡単にスポスポ手で抜ける代わりにキャップは金属キャップネジ式でちょっと変わった仕様です。

 

 

 

 

望遠鏡の顔である銘板ですが、製造番号初めの2桁が75なので1975年製かも知れません。しかしそのころにはファインダーが既に5倍25mmになっているはずであり、この個体は4倍10mmなのでやはり更に古い年代のものだと思います。

 

 

 

 

そのファインダーです。

仕様は4倍10mm7度で無いよりマシ的なものかと思ったら、これが大変良く見えます。最初はピント調整の方法が分からず困りましたが、先端のレンズが中子の様になり外側リングで固定して合わせるといった凝った作りになっていました。最近の安い望遠鏡に付属している5倍25mmよりよっぽど良く見えました。

 

 

 

 

架台はクラシックなデザインの本格ドイツ式赤道儀を、そのままミニチュアにした感じです。しかしながら各部しっかりした作りでここも手抜きはありません。大型赤道儀の基本機能を反映しており赤経微動も全周ウォームホイルで、昔懐かしい手動ガイドをしてみたくなります。加えてクランプを緩めれば架台の水平回転も可能であり、もはやこの点ではタカハシTS100の極軸設定よりやり易いものと思われます。

 

 

 

 

赤道儀には緯度目盛りがありますが90度の表示まであるということは、これは真上に向けて経緯台の使いかたもできる優れものであることが分かります。鏡筒も小型で軽く十分垂直水平のファインディングもできることでしょう。

 

 

 

 

タカハシTS100の隣に置いてみました。TS100の赤道儀がオバケの様に大きく見えますが、R-51の赤道儀が小さいのです。図らずも同じ70年代の望遠鏡同志の競演となりました。

 

 

 

さて、長々と古スコに興味の無い人にはすいませんでしたが、早速のファーストライトを窓の外に見えている満月で行います。本日中国地方は梅雨明けとなり、晴れた夜空に満月が煌々と輝いております。

 

 

いやいや良く見えます、色収差が全く感じられません。アイピースはHM20mmですよ、驚きました。HM20mmではコリメートするのに視野が狭いので、カートンのK25mmとビクセンのK20mmを挿してみましたが、そちらの方が見え味が悪く月の縁に薄っすらと色が付きました。一体どういうことでしょうか。

 

 

 

付属アイピース

 

アイピースも大変精巧にできています。アストロ光学の望遠鏡は初めて所有した私ですが、確かに同年代のカートンやミザールの望遠鏡とは一線を引いた高級な雰囲気がある様な気がします。知らないのですが想像で言うと、五藤やニコンに通じる様な気配を今回のR-51から感じましたと、少し大袈裟に言いました。(笑)

 

 

 

カートンK25mmやビクセンK20mmでは見え味が悪いので、タカハシOr18mmを挿して手持ちコリメートです。それでは行ってみましょう、月日記。

 

 

21日の月

アストロR-51+タカハシOr18mm+ルミックスLX7/24mmF1.4

 

手持ちコリメート撮影

 

ちょっと荒らし過ぎましたが、とても良く見えているのを感じて頂ける写真だと思います。程度の良いアストロ光学のR-51と出会えて良かったと改めて感じる次第です。(^^)

 

 

 

 

 

それでは今回も最後までご覧頂いて誠にありがとうございました。(^^)