怒られちゃうや。手袋をつけられなくなった。
「せっかく毎年編んでるのに!来年からプレゼントどうするの????」って。帰ったらちゃんと謝らないとな。
意外とこんなことが脳を巡る。次いで視覚で真っ赤な鮮血。次いで激痛。噛み殺せない呻き声と短い吐息が喉の奥から込み上げる。痛すぎる。語彙力。。。
息を整える。整え。大丈夫だ。あと2回。
『ではここからは左手でクジをお引きください』
わかってるよクソ。クソ
穴に左手を入れる。怖い。嫌だ。感情全てを奥底に沈めて紙を引き抜く。さっきより重いわけはないのにコンマ3秒引き抜くのに時間がかかった。嫌な予感がした。
『あなたが引いたのは、左目です。』
左目。左目。左目。咄嗟に目を瞑る。目を瞑らない方がいいなんてわかりきってるのに筋肉が言うことを聞いてくれなかった。まぶたの付け根からゼリーを掬うように銀で抉られる。右手の方が痛いんだ。知らなかった。
『最後のクジを引いてください。』
『あなたが引いたのは、脳です。』
『お疲れ様でした。ではプログラムは以上になりますのでどうぞご自由に。』