起きるとともに絶望。やはり雨だ。最悪だ。
この日を何年待ったと思ってるんだ。現場の兄貴たちにも親方さんにもようやく家族みたいに扱ってもらえるようになった。めちゃめちゃがんばった。ようやくのこの日。雨。大雨。神はいない。
花火師は女がなる仕事じゃない、そんなことわかってる。わかった上で親を振り払って一人ぼっちで上京して中華料理屋でアルバイトしながら専門学校で学んで青海組に入門して、たくさんたくさん修行して、弟弟子も入ってきて、ついに自分の花火を上げること許されて、気をつけて気をつけて昔見た私の心を奪い去ったあの花火に少しでも近づこうと何度もなんども試行錯誤を繰り返してようやく、ようやく打ち上げの今日、雨だ。あーーーー。
一気に冷めた。
青海組は雨が降ると日を変えて打ち上げる。ダメだ。今日じゃなきゃダメなの。健介が死んだ8/11。今日じゃなきゃ健介に届かないの。ダメなの。お腹痛い。痛いよぉ