「フグなんて…いかがでしょうか?」




会議室に漂う重苦しい空気を裂いたのは今年から配属された竹原だった。36の目線が一斉に下座に向く。【若さ】と【無謀】はほぼ同義だ。





「あのなぁ竹原。学生向けの定食チェーンのランチに、どう考えても不向きだろ。フグ。」




「いえ!今の若者は新しいもの、話題性を常に求めています!ランチ一つにも午後の講義で使える話題を!そんな学生が多く存在していると考えます!」




「学生に手が出せる値段でフグを提供ねぇ…」




「揚げましょう!衣でカサ増しすれば量も増える!ご飯おかわり無料で満腹です!」




「揚げたりしたらフグの良さなんて全くと言っていいほど無くならないか?」




「学生に必要なのは量と話題です!!フグがフグであれば良いんです!!ランチでフグを出す店!!必ず話題になります!!」






戦えてる。


その調子、その調子。







「でも学生がテーブルで脱糞したら終わりじゃないか?」




「それは…」




「ほれ見ろ竹原。お前の意見なんて所詮そんなもんだ。」




「…」






ああっ!!