自作甲冑で受け継ぐ武士の魂と匠の技<第2話> | 品質安定化設計ラボラトリー日記

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かつて開発業務で活用した「品質不良を開発・設計段階で未然に解決する」タグチメソッド(品質工学)を多くのものづくりエンジニアの皆さんに知っていただきたいと思い、そのために自分自身も学び直しながらブログでご紹介してゆきます。

1.破損してしまった頬当の

 改善案

 最近はあまり甲冑の製作を進めては

おりませんが、実はここでもやらねばならない

ことがあります。

 

 それは、昨年初めに破損してしまった

頬当の作り直しです。 

 

 4年前にでき上った当初はこんな姿でした。

 

 

 実際に着用すると、こんな姿になります。

 

 

 厳密に「頬当」と言って良いのか

疑問ですが、むしろ「顎当」と言った方が

良さそうな略式の頬当です。

 

 それが昨年、飾り台から外した際に

右側面が根元から折れてしまったのです。

 

 

 左側面は完全に破断してはいませんが、

やはり根元にクラックが入っております。

 

 顎の部分は顎の前面と下面が

組み合わさった凸面構造になっており、

応力に強いのですが、

左右の側面部分は凹凸のないベルト状の

平面構造で、応力に弱くなっております。

 

 その「強い部分」と「弱い部分」の境目に

当たる根元部分に応力が集中し易くなり、

今回のような破損に繋がったと考えられます。

 

 改善案として、側面部分にも曲面を設け、

応力に対する耐性を強化することが必要に

なります。

 

 但し、これは容易ではありません。

 

 「人間の顔の形に合わせて作る」と

いうことが結構難しいのです。

 

2.参考データ発見!

 参考になる情報はないかと検索したら、

幸い、ネット上で実際にボール紙を使って

頬当を作った方が、ご自身のサイトで

その頬当の型紙を公開して

いらっしゃいました。

 

面頬の作り方-龍之介日記 (canpan.info)

 

 そこで、自分も型紙をコピーさせて

いただき、試作してみました。

 

 

 

 

 さすがにリアルな形になりました。

 

 さらにリアルな凹凸ができるように、

自分で折り目を入れてみました。

 

 

 形は良くなりましたが、

あちこちに打ったホチキスの針が

気になります。

 

 実際にはこの上に和紙を千切っては

貼り付け、張子細工の要領で

ホチキスの針や継ぎ目を

隠しつつ厚みを補ってゆくのが良いと

考えます。

 

 

 今週はここまでとします。

 

 ご精読、ありがとうございます。

 

 来週土曜日は、頬当の下に付く

垂の改善案を考えます。

 

 お楽しみに。

 

<追伸>

 頬当と言えば、表情筋を引き締め、

美顔を作る「頬当のような」美顔器が

ヤーマンから発売されているようです。

 

 武田真治さんがCMをやってます!