ある日の風景。
寄せてはかえす波をみつめているとあの日の2人を思い出す。
最初で最後の小さな喧嘩。
私の狡さを一瞬で貫いた短い言葉。
それまで見せたことがなかった君の涙。
あの頃の2人を取り巻く状況はけっしていい事ばかりじゃなかった。
それでも最後にはお互いに相手の存在を大切にしながら懸命に暮らしていたよね。
例えば2人の間で諍いがあったとしても
それを切欠にまた絆が深まれば寄り添う意味は消えることはないんだと教えてくれたのは…
私なんかよりも生きることにずっと真剣だった君だった。
そしてそんないくつかの思いを胸の内にしまいながら再び歩きだそうともがいている私を
今も君が遠い空の彼方から見ているのだとしたら
何を思い
どんな言葉をかけてくれるだろうか。

彼の心の片隅には大切に飾られた少しだけ色褪せた数枚の写真がありました。
でもそこにあるいくつかの写真は時が経つにつれていつの間にか消えてしまう物でした。
彼はまだその手に何もつかんではいないのに。
そんなことはお構いなしに次々と消えていくであろう懐かしい写真。
彼は自分自身に問いかけました。
今すべての写真がなくなったとしてもまた新しい写真を飾っていけるだろうか。
もしも飾れる写真があったとしても心の底からそれでよかったと思えるだろうか。
考えれば考えるほど不安になるばかりでいくら考えても答えがなかなか見つかりません。
彼が考え続ける理由。
それはおそらく彼自身の心の中での果てしない葛藤だったのかもしれません。
そしてそれは第三者には簡単には理解し難いはず。
彼の心の中にあるその写真にはそれほど大切な何かが残されていたようです。








