日本ダービーの振り返り | S-Trans

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第91回東京優駿(日本ダービー)の振り返りをやっていく前に、まずはダノンデサイルの関係者の皆様、おめでとうございます。また全ての人馬関係者の方々お疲れさまでした。

 

今回の日本ダービーは昨年にもまして特異なレースとなってしまった。前半は長距離戦かと思うような超絶スローペース、そして後3Fの電撃短距離戦。まさに600m距離ハンデ戦かと思うようなスパート勝負の競馬となってしまった。なぜこんな競馬となってしまったのか、そしてどのような駆け引きで、どう今後につながるレースなのかを解説していきたい。

 

なおあくまで一個人の感想という事をご留意していただきたい。

 

【想定外の除外馬】

今回まずこのペースを作り出したのは、メイショウタバルの除外である。この馬は逃げ馬なためおそらく日本ダービーに出る全陣営はこの馬がペースを作っていくだろうと想定した。

 

しかし木曜日にメイショウタバルの故障による除外が発表されたことで、今回の日本ダービーを引っ張っていく競走馬がいなくなってしまった。まずこれがこのレースをスローにした要因である。

 

そしてさらにこのレースをスローにしたのが、武豊騎手と岩田康誠騎手、横山典弘騎手のオーバー50トリオである。

 

実は今回の日本ダービー、出走馬のうち有力馬のほとんどが中段前目~後方で位置取りをすることを得意とする馬が集まっていた。そのためレースを引っ張るのは武豊騎手のシュガークンと、思い切った騎乗を頻繁に行う岩田康誠騎手騎乗のエコロヴァルツというのは前々から予想がついていた。さらにそれを後ろから虎視眈々の狙っていたのが勝ち馬であるダノンデサイルである。

 

そもそもシュガークンは逃げ~先行馬とはいえスローの流れが得意な馬であり、エコロヴァルツは距離不安が付きまとう馬であった。特にエコロヴァルツはミドルペースになっては距離不安もあって勝ち目がなく、また後方に控えてはパンパンに仕上がった東京競馬場の先行有利な高速馬場では抜かせないと判断したのだろう。この2頭とそれを抜かすことなく後ろにピタッと張り付いたダノンデサイルの3頭によってスローなペースが作り出された。

 

【戸崎騎手の絶好な判断。対照的に・・・】

 

今回のスタートを図化してみた。馬身や縮尺はだいたいで。

 

今回絶好のスタートを切ったのは11番シュガークンであった。そのシュガークンによって被せられてしまったのが10番サンライズジパング。できたらこの馬も前方で競馬をしたかったのだがこれによって後方に下がらざるを得なくなった。武豊騎手ベテランの妙技である。5番のダノンデサイルも内枠を生かして一気に先団に。

 

18番大外エコロヴァルツもいいスタートを切った。前々から決めていたのかスタートが良かったから最前列にとりついたのかは不明だが、これで先頭につけたのは後々考えてもファインプレーだったと言えるだろう。

 

実は2番レガレイラもかなりいいスタートは切れていた。珍しいがもしかしたらスタートを克服した?対照的に1番サンライズアースは大出遅れ。1枠1番の利点が生かせなかった。

 

面白いのが7枠の3頭が全て出足がつかなかったこと。13番シンエンペラー14番ゴンバデカーブースも、特に一番遅れたのが15番ジャスティンミラノであった。しかしこの後でこのレースの明暗を分ける出来事が。

 

ちなみに私が期待していた8番アーバンシックもここで出遅れ。うーーーーーん、この。

 

1ハロンが過ぎると18番エコロヴァルツが引っ張っていく形に。次いで内5番ダノンデサイル、外11番シュガークン12番シックスペンスと続いた。そしてここで思い切ったのが15番ジャスティンミラノである。出遅れてはいたがここで戸崎騎手がしごいて先団にとりついた。この判断が後の結果に結びついていく。

 

対照的に13番シンエンペラーは無理に先団にとりつかず、中段に控える形となった。坂井瑠星騎手は前目を狙いたがったというが出遅れたため中段に控え、末脚勝負に出たのだろう。ただ個人的にはジャスティンミラノにとりついて5,6番手まで上がっても良かったとは思う。

 

2番レガレイラは内側の中段前目で控えての競馬となった。爆発的な末脚を持つ馬のためこのあたりでよいとルメール騎手が判断したのかの知れない。6番コスモキュランダ1番サンライズアースは思い切って後ろから競馬を運ぶことにしたが、中盤かられら面白いことをするので注目。

 

↗進行方向

 

2ハロン目になると15番ジャスティンミラノはさらに上がっていった。ここら辺で戸崎騎手はスローペースと察したのかもしれない。無理にペースを上げると後方有利となってレガレイラシンエンペラーに有利な展開となるため、無理に追わず18番エコロヴァルツの後ろに控える形となった。14番ゴンバデカーブースも絶好とは言い難いが有力馬をマークできるいい位置にポジションを取ることができた。

 

5番ダノンデサイルはまさに絶好のポジション。スタミナを消費せずかつ前のペースに合わせられる。いくら2400mといえどスタートが大事というのは変わらない。

 

 

【動いた3頭と動かない2頭】

←進行方向

5ハロン目。通過タイムが62秒台ととんでもないスローペースで競馬場がどよめいた。そんな声を聞いたか分からないがここで6番コスモキュランダのデムーロ騎手が前方に進出を開始した。

 

スローペースは圧倒的前有利。それを読んでか前方に進出する判断は間違っていない。むしろ好判断である。しかしここで面白いのは同じく後方に控えていた池添謙一騎手の1番サンライズアースは動かなかった。

 

↙進行方向

そして6ハロンから7ハロンで池添騎手の1番サンライズアースが動いた。前方進出というよりまくりに近い進出である。6番コスモキュランダが中段前目にとりついたのに対し、サンライズアースはこの図以降もどんどん前に進出していく。

 

↓進行方向

サンライズアースは先頭にも立とうかという勢いで前につけ、気づいてみれば超いい位置。

実はここが15番ジャスティンミラノの勝利の境目ではないかと睨んでいる。個人的には池添騎手が進出してきたときに池添騎手よりも先にまくるような競馬ができれば勝てたかも・・・と個人的には思っている。ただそうすると脚が残らず13番シンエンペラーに差された可能性もあるので何とも言えないが、前に壁ができてしまったことは確かだろう。

 

逆にシンエンペラーは動こうにも動けない状況。坂井騎手はこの時何を思ったのか。私はこれを見て「ああ、フォーエバーヤングと似たような状況だなあ」と考えてしまった。2番レガレイラはあえて動かず後方からの勝負か。

 

【横山パパの好判断とホープフルステークス組の無念。~今後の各馬の展望~】

↘進行方向


直線前の攻防。18番エコロヴァルツはやはり距離が響いたか垂れ、11番シュガークンも限界に。一方で上がってきた6番コスモキュランダ1番サンライズアースは末脚はいまいちだがポジションは絶好。5番ダノンデサイルはポジションOKスタミナも万全。絶好枠とは言い難いが15番ジャスティンミラノも悪くない。

 

13番シンエンペラー2番レガレイラは末脚勝負。8番アーバンシックも大外一気に賭ける勢いだった。

 

18番エコロヴァルツが外に寄れた隙をついて5番ダノンデサイルが驚異的な末脚を見せた。Cコースに変わりたての東京競馬場、馬場は内外全てよく伸びる馬場。まさにだれも止めることができない末脚で見事1着を手にした。

ただ個人的にはあまり参考にならないレースでの1着。馬が強いというよりは騎手が勝たせたレースだろう。末脚は見事なものであったため、前半のペースが菊花賞と似ていることから菊花賞で活躍するかもしれない。

 

2着の15番ジャスティンミラノはほんの少しだけ前が壁になったがそれでもよく伸びた。勝ち馬がもっとすごい末脚をしたと見るべきだろう。もしかしたら序盤にスタートが遅れたため、その挽回で前につけたことで最後伸びなくなったのかも?ただ、戸崎騎手はまたしてもダービー制覇はお預けとなった。悲しい・・・悲しい・・・。とはいえ相変わらずどんな展開になっても強い競馬ができるため、今後の2000~2500mはこの馬を中心に進んでいく可能性がある。

 

3着の13番シンエンペラーは一番勿体ない競馬となってしまった。もっとゲートの出が良ければ、もっと前目につけていれば十分勝ち目はあった。しかもこの馬が得意とするスローペースによるロングスパート勝負。坂井騎手もかなり悔しいはずである。ただ逆に言えば日本の馬場でも末脚で十分勝負できることが分かった。個人的にはまだ馬体が完成しているとは言えないので、海外挑戦が楽しみな馬である。

 

4着の1番サンライズアースはまくっての4着。まさに騎手がここまで持ってきたレースと言えるだろう。ゲートの出が良かったら分からなかったが、もしかしたらとも考えてしまう馬である。池添騎手の好騎乗である。余談だが同日にこの馬と同じ父を持つミナデオロがリステッド競走で勝利しているため、レイデオロ産駒は晩成傾向の可能性も・・・もしかしたらあるかも?

 

5着の2番レガレイラは残念ながらこの馬のレースではなかった。こうドスローになってしまっては後ろの馬は前に届かない。今回は度外視としたいが、皐月、ダービーとシンエンペラーに負けているだけに少し成長が停滞している可能性もある。今後調教も含めて注視していきたい。

 

6着の6番コスモキュランダはデムーロ騎手の好判断で6着と言える。あのまま動かなかったらもっと下に沈んでいてもおかしくなかった。ただゲートの出が良ければ・・・。あとサンライズアースとの着差を見るともしかしたら2400mは長く、2000mが適正距離の可能性もある。直線は根性で残ったようにも見えた。

 

7着の11番シュガークンと8着の18番エコロヴァルツはよくやったほうである。ただ自分たちで作ったペースでこの着順ということは、単純に実力がまだまだ足りないとも言えるだろう。シュガークンは半兄キタサンブラックが3歳秋から本格化していることや父ドゥラメンテの産駒が4歳でも活躍しているところを見ると、これからの馬ともいえる。

 

9着の12番シックスペンスはいい位置につけていたのになぜか沈んでしまった。実力不足の可能性が高いだろう。

 

10着以下は単に勝ち馬とは実力がかけ離れていたと見るべきだろうが、ゴンバデカーブースダノンエアズロックは実力に加えて距離が長すぎたという可能性がある。ダノンエアズロックは一応プリンシパルステークス(東京2000m)を勝ちはしているが、この競走もなかなかスローな展開であったため適正距離は1800mという可能性も・・・。

 

個人的に残念だったのがアーバンシックである。後方になって脚が届かなかったと見るべきかもしれないが、それにしても皐月賞4着が今回11着は残念な結果である。距離かなぁ・・・?(実は本命だった)

 

【まとめ】

以上で日本ダービーの総評を終えていく。上位3頭の実力差に関してはやはりジャスティンミラノが抜けている印象である。展開次第ではシンエンペラーダノンデサイルにも今後十分勝機があると言えるだろう。まさにジャスティンミラノに関しては負けて剛というレースであった。

 

レガレイラに関してはもしかしたら成長が止まった?という可能性も含めて注視していきたい。展開がこの馬向きではなかったにもかかわらず5着に来ているという事は実力が十分にある証拠である。秋はどこに行くのか分からないが、個人的にはロングスパートよりも爆発的な末脚が得意なタイプとみているのでエリザベス女王杯よりは天皇賞(秋)や秋華賞の方が向いているかも?

 

後今回の日本ダービーは傾向のヒントにならないと個人的には思うが、とはいえ2年連続でスローからのハイペース決着が続いているのでもしかしたら日本ダービーの展開は今後こうなっていく可能性が・・・。

 

うーーん、競馬ってつくづく難しい。