死因が「心不全」と書かれていることがありますね。

芸能人の死因などでもよくニュースで出ています。

 

しかし医療者からみるとなんともよく状況のつかめない表現です。

 

心不全とは読んで字のごとく「心臓の機能が全うしない」ということです。心臓の機能とは血液を送り出すポンプ機能であり、この機能が落ちている、という状態を指します。

 

つまり亡くなるときは心臓の動きが悪くなるので言ってみれば全部「心不全」なんです。

 

心不全とは、いわば症状に相当します。例えば、「咳」が出ていて調べた結果肺炎が見つかった。この場合、「咳」は症状で肺炎が病名になります。咳を病名と言われても?となりますよね。しかし実際は、心不全があたかも立派な病名のごとく使われていることが多いですね。

 

心不全には急性心不全(急に発症する)と慢性心不全(何年もかかって発症する)があります。

 

病名として使う場合は通常、慢性心不全を指します。心臓も筋肉ですので、皮膚や骨と同じように年齢とともに弱っていきますが、それが何年もかかって心機能が弱っている場合は、病名として良いでしょう。

 

しかし、これまで何もなかった人に急に起こった「心不全」という症状には、何か病名がつくはずなのです。例えば、心臓の血管が詰まって心筋が壊死してしまって動きが悪くなる、止まらない不整脈が急に出てリズムよく血液を送り出せない。そういうとき、病名はそれぞれ心筋梗塞、致死性不整脈(不整脈によって心房細動、など病名は変わります。)となります。

 

他にも大動脈の血管に解離(血管の壁が剥がれる)が起こって心臓のあたりまで及んでしまうとそれにより血液が送り出せなくなり、急性心不全の状態になることもあります。

 

なんとなく「心不全で死亡」と書かれているとき、その方の生活歴やこれまでの既往歴などから、実はそれぞれいろんな背景があるということです。