文化財保護の事業は教育委員会の職務権限であるにも関わらず、市長の私が古戦場公園への古民家移築中止を判断したことが越権行為となっている点について、私が市長に就任する直前までの検証結果が公表されたので、ご覧ください。市の弁護士、県の職員に助言をいただき、検証が行われました。
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検証は以下の4項目の視点で行っています。
1.文化財保護法の趣旨に反していたか。
2.事業内容や進捗について教育委員会と共有していたか。
3.補助執行機関として越権行為はあったか。
4.文化財保護審議会との連絡調整は適切であったか。


4項目の検証結果に関する私の考えです。
1.文化財保護法の趣旨に反していたか。→私も文化財保護法の趣旨まで逸脱していたとは思っていません。

2.事業内容や進捗について教育委員会と共有していたか。→平成26年頃から始まった古民家事業について、市長部局と教育委員会部局が情報共有をしていたことは私も事実だと考えています。10年間に渡る紆余曲折がありましたが、当初から本来教育委員会に職務権限のある文化財保護の仕事を市長部局の仕事だと皆が思い込んだことが要因だと思います。

3.補助執行機関として越権行為はあったか。→本来教育委員会部局が主導すべきところ、市長部局が主導して決めてきたことについて「多くの点で適正性を欠いていた」との検証結果です。「多くの点で適正性を欠いていた」というのは正しくない状態で進められてきたということなので、私は問題があると思っています。しかし、市長部局が主導して決めたことを教育委員会部局が覆していないため、「事業自体の根幹に関わる越権行為があったとまではいえない」との検証結果となっています。本来教育委員会が策定すべき「長久手古戦場公園再整備基本計画」を市長部局が策定していたり、国登録有形文化財に登録する・やっぱりやめると市長部局が決めていたり、古戦場公園へ移築する・やっぱり現地保存・やっぱり古戦場公園へ移築と市長部局が決めているので、ピンポイントでは多くの点で越権行為に該当すると思いますが、教育委員会部局がこれらをすべて追認しているため、時間が過ぎた今となっては越権行為にならないことを私も認めます。

4.文化財保護審議会との連絡調整は適切であったか。→検証結果は「文化財保護審議会から意見を聞くために、市文化財保護条例に基づく諮問、具申等を求める正式な手続を経ないまま進めてきた点は適切とはいえなかった」 となっています。つまり、条例に違反した状態で進められてきたため、私は問題だと考えています。

以上を踏まえて、私の古民家移築中止の判断は越権行為であるため、今後は本来職務権限がある教育委員会の判断に委ね、教育委員会の出した方針を尊重したいと考えています。この古民家がどのような文化財であるか、国登録や市指定すべき文化財か(愛知県文化財保存活用大綱では「県、市町村の文化財保護部局としては未指定文化財の把握と評価の再検証に努めるとともに、指定等の措置を執る必要がある」としている)、保存・活用方法はどのようか、「古戦場公園再整備基本計画」は適正か、現地保存を前提に寄付を受けたことが適正かなどについて、ふりだしに戻って教育委員会及び文化財保護審議会、社会教育委員会で議論がなされることを望みます。
教育が政治的影響を受けないように独立した教育委員会の権限であることと同様に、文化財保護も政治的影響を受けないように教育委員会の権限となっていましたが、10年間に渡り政治的影響を大きく受けて二転三転を続けてきたことについて、市長就任前は議員の1人だった私としても認識不足を反省しています。

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