総務くらし建設委員会視察報告

7月27日㈬、大阪府寝屋川市役所を訪れた。「寝屋川市総合センター被災による分散執務の経過及び業務継続」と「(仮称)寝屋川市駅前庁舎整備(市民サービスのターミナル化)」を学ぶためである。

【寝屋川市総合センター被災による分散執務の経過及び業務継続】
寝屋川市総合センターは、昭和47年建築の地上4階建てのボーリング場の建物を大規模改修し、昭和52年に市の所有とし開館した。平成9年に耐震補強工事(Is値0.75以上)や内装の大規模改修を実施し、社会福祉協議会、シルバー人材センター、西地区市民センター、障がい福祉課、保育課、中央公民館、中央図書館などが入っていた。平成30年6月の大阪北部地震で天井の剥落、窓ガラスの破損、ブロック塀の破損などがあり、平成30年7月に議員12名による「公共施設の在り方調査特別委員会」が設置され、「早急に移転すべき」との提案が出された。これにより、市は総合センターにあった機能を分散して移転することとした。総合センターの建物は約6億4,000万円で解体され、跡地はスポーツ拠点施設整備の候補地の1つとして検討が進められている。

【(仮称)寝屋川市駅前庁舎整備(市民サービスのターミナル化)】
寝屋川市は、令和3年度に大阪電気通信大学の駅前キャンパスを取得した。寝屋川市役所の現在の庁舎は寝屋川市駅から徒歩20分ほどの場所にあるが、このキャンパスは駅前すぐの場所にある。令和元年度に大学から打診があり、令和3年度に取得に至った。築10年ほど経過しているが、耐用年数としてさらに約50年使えると見込んだ。市として「市役所機能を駅前にターミナル化し、市民サービスを集約していくべきであろう」と考えていたところ、校舎を持っている大学から売却したいとの打診があった。大学の意向が最初から売却だったため、更地にして新築で建てるか、既存建物を取得するのか検討した。新庁舎を同規模で新築した場合の試算は25億9,000万円、既存建物を取得した場合の試算は18億7,000万円(改修費含む)で、新築すると開設までの工期が約2年遅くなることから、既存建物を取得することとした。子ども部、市民部、住民異動に伴う手続き、税の手続きなど市民が来庁して利用することの多い窓口を駅前庁舎に持っていく方針としている。本庁舎と駅前庁舎で重複するサービス提供はない予定である。


中央図書館も寝屋川市駅前の建物(アドバンスねやがわ1号館4階)に整備された。駅前庁舎も近い。






中央図書館がある建物に隣接する建物(アドバンスねやがわ2号館3階)にこども図書館(キャレル)もある。




この先も当面使えると考えていた公共施設の建物がある日突然の地震で損傷を受け、分散移転せざるを得なかった事例を学ぶことができた。昭和42年建築の長久手市役所本庁舎も、南海トラフ地震などの発生時には建物が損傷を受け、本庁舎内で業務が続けられない恐れがある。大阪北部地震で被災した総合センターも、現在の寝屋川市役所庁舎も駅から離れた場所にあるため、公共交通機関結節点である駅周辺に市役所機能を集約するターミナル化の方針は、これからの時代に求められることだと感じた。市役所庁舎を新築で建てるのではなく、既存の建物を取得して庁舎として利用する方法も学ぶことができた。今後の参考にしたい。