6月15日、6月議会の教育福祉委員会が開かれました。

付託された議案「令和4年度一般会計補正予算」の中に、がん治療で髪の毛が抜けた際に使用する医療用ウィッグ、乳がんで胸を切除した際に使用する乳房補整具の購入費助成の費用が計上されました。令和4年4月1日以降に購入した人が対象で、購入費の2分の1を助成し、上限はひとり2万円です。市で制度を設けると県が財源の2分の1を負担してくれることになり、長久手市で実現できて良かったです。

以下は、令和3年第3回定例会(第5号9月17日)の会議録から引用しています。

○12番(さとうゆみ君) 2項目め、がん対策について。
 (1)がん対策として、どのようなことを行っているでしょうか。
 (2)がん患者の方の負担軽減のため、医療用ウイッグ及び乳房補正具の購入費助成を行わないか。
 (3)介護保険制度の対象にならない40歳未満のがん患者の方の在宅療養を支援するため、訪問介護の利用料助成や福祉用具の購入費、レンタル料助成、住宅改修費助成などを行いませんか。
 (4)各種がん検診の受診率はどのようで、市が第2次長久手市健康づくり計画で掲げている目標値との差はどのようでしょうか。
 以上です。
○議長(伊藤祐司君) 質問は終わりました。
 続いて、当局の答弁を求めます。福祉部長。
             [福祉部長 川本満男君登壇]
○福祉部長(川本満男君) がん対策について御答弁させていただきます。
 1点目について、がん対策として、本市では、がんの早期発見を目的にがん検診を実施しています。がん検診の受診率向上に向けて、がん検診と特定健診の同時実施や、今年度からは、前年度受診歴がある人への受診券の発送、女性が受診しやすいように子宮がん検診と乳がん検診の同日実施、新規の人は予約しやすい環境の整備として、一部健診についてインターネットによる予約を導入しました。受診率が低い女性健診については、はがきによる個別受診勧奨、再勧奨を実施しています。
 2点目について、県が実施しているがん患者の相談において、医療用ウイッグ等の相談件数がどの程度あるかニーズを確認していきます。また、県が市町村に対して購入費を助成する財政的な支援を含め、アピアランスケアの推進について調査、研究を進めていることから、市としては、県の動向を注視していきたいと考えています。
 3点目について、20歳以上40歳未満のがん患者の人は、40歳以上で対象となる介護保険サービスや、20歳未満で対象となる小児慢性特性疾病医療費の支給に該当せず、国の制度のはざまにあると認識しています。
 若年者の在宅医療の支援については、名古屋市で訪問介護の利用、福祉用具の貸与等の費用に対する支援助成制度を、平成30年度から開始しており、平成31年1月に視察を実施しています。引き続き、先進自治体の実施状況等を参考にし、関係部署が集まり研究していきたいと考えています。
 4点目について、令和2年度の受診率は、肺がん検診61.8%、胃がん検診38.1%、大腸がん検診58.2%、子宮がん検診45.8%、乳がん検診53.0%でした。第2次長久手市健康づくり計画は平成31年3月に中間評価を行い、目標値を一部見直しし、令和5年度に達成する目標値として、肺がん検診65%、胃がん検診60%、大腸がん検診63%、子宮がん検診60%、乳がん検診60%を掲げています。昨年度は新型コロナウイルス感染症の影響による受診控えが考えられ、目標値と隔たりがありますが、引き続き、がん検診は不要不急でないことを周知していきます。
○議長(伊藤祐司君) 再質問はありませんか。さとうゆみ議員。
○12番(さとうゆみ君) 市として、がん対策は何を行っていますかということについては、今の答弁では、基本的にはがん検診のみということでありました。
 日本人の死因の第一位はがんですので、どの方にとっても他人事ではないと思います。それで、(1)の答弁では、できる限り受診率を上げていく努力をされているということは分かりました。
 次は、2点目の質問のところで、医療用ウイッグに関してですけれども、少し前に基礎疾患をお持ちの方のコロナワクチン優先接種の予約が始まりまして、そのときに女性の市民の方から相談がありまして、もともとはワクチン接種の話だったんですけれども、その方は基礎疾患があるので、過去にがんを経験して抗がん剤治療で髪の毛が全部抜けてしまって、医療用ウイッグを購入したところ、高額で経済的負担が大きかったので、長久手市は福祉のまち、そして高齢者にも手厚いというようなことは聞いているけど、こういうがんの患者にも目を向けてほしいということを、その方は私に言ってくださいまして、それで私は調べたところ、隣の名古屋市や岐阜県、そして全国を見ると複数の自治体で、医療用ウイッグの購入費助成を行っていまして、全国の一部の自治体では、乳がんで胸を切除した方への、乳房補正具の購入費助成も行っておりましたので、長久手でもこのような状況に直面した人の支えになれないかなと、支えができないかなと思いまして、今回、取り上げております。
 (2)では、県の動向を注視していきたいということで、市では、今のところやらないという答弁だったんですけれども、近々県が動く見込みがあるのかお尋ねをいたします。
○議長(伊藤祐司君) 福祉部次長。
○福祉部次長(浅井俊光君) 令和3年6月と8月に、医療用ウイッグの購入費の助成に関する実施状況調査、乳房補正具の購入費の助成に関する実施状況調査、若年がん患者への支援に関する実施状況調査が県からありました。医療用ウイッグは6,000円から10万円程度、乳房補正具は3,000円から35万円程度と大きな幅があり、購入費用に対する財政的な支援は、岐阜県をはじめ12県で実施しています。
 愛知県としては、全国一律の制度とすることが適当だと考えており、既に中部圏自治会を通して国へ要望するとともに、助成事業について検討しているとのことです。
○議長(伊藤祐司君) 再質問はありませんか。さとうゆみ議員。
○12番(さとうゆみ君) 今の答弁ですと、県は県独自でやるんじゃなくて、全国一律でやるようにという要望を出したということなんで、恐らく県もしばらくやらないということかなと思いますと、市でどうにかできないかということを、来年度の予算に向けて一度検討していただきたいと思います。
 次に、3点目の介護保険の対象にならない、40歳未満のがん患者の方の在宅療養を支援するための助成ですけれども、例えば名古屋市ですと、基本的に40歳を超えますと介護保険の対象になるので、在宅でなかなか身動きがとれない場合に、訪問介護を受けたり訪問看護を受けたり、あと入浴や排せつに関わる用具を購入したりレンタルしたり、あと手すりを付けたり洋式のトイレに変えたりという住宅改修費が、40歳を超えれば介護保険制度で出てくるんですけれども、40歳未満の方は、その制度の対象にならないので、助成金がないと全額自己負担となってきます。
 名古屋市では、在宅ターミナルケア支援事業というものを展開しておりますので、これだとかかった費用の自己負担は1割ということで、9割分は名古屋市が助成金として出しております。長久手はこの制度がないので、名古屋に住んでいたら1割負担でできるものが、長久手に住んでいると全額自己負担ということになっておりまして、先ほどの答弁でも、制度のはざまということは認識しているということだったんですが、実際、名古屋市を平成31年1月に視察をされているということですが、今もなお、長久手市では導入に至っていないのは、どのような理由があるのでしょうか。
○議長(伊藤祐司君) 福祉部次長。
○福祉部次長(浅井俊光君) 名古屋市の実績を確認しましたところ、利用決定者数は、平成30年度8人、令和元年度5人で、最も利用が多かった支援は、手すり、スロープ、車椅子、特殊寝台等、福祉用具の貸与に係る費用助成でした。このほか訪問看護、福祉用具の購入に係る費用の助成の利用が少数ですがあったとのことです。ターミナルケアは終末期の過ごし方、受けたいサービスが多種多様なため、名古屋市と同等のサービスを提供する方法や、支援金として支給する等の検討が必要なため、引き続き研究していきたいと考えております。
○議長(伊藤祐司君) 再質問はありませんか。さとうゆみ議員。
○12番(さとうゆみ君) 今、名古屋市の規模でも、実際受け取った人が少なかったのでというような答弁でありましたけれども、なので長久手は人口6万人ですので、名古屋よりもっと対象者は少なくなってくると思うんですが、実際に回復が見込めない方が、最期、末期の状態で、住み慣れた環境で家族と過ごしたいというときに、40歳過ぎていたら介護保険で1割負担になるんですけど、それより若い世代でなりますと全額自己負担となっておりますので、そのはざまをどうにか埋めていただきたいなと思います。とは言いましても名古屋市は、名古屋市がん相談情報サロンケアネットという、相談機関みたいなところがありまして、そこがサービス提供事業者と調整などをしてくれているので、突然、長久手市だけでやるのは、ちょっと難しい部分もあるかもしれないんですけれども、最近ですね、高齢者の介護施設などの実地調査も、尾三地区連携で5市町の職員を出し合ってぐるぐる一緒に回っているように、人口6万人だけでは難しいとは思うんですが、一定数は対象になる方がいらっしゃいますし、日進市やみよしとか、そちらのほうにも対象者がいると思うので、また、尾三地区の連携の話の中で、一度出していただけるといいなと思います。
 次はですね、昨年12月議会で木村さゆり議員が、将来的に子供を産む選択ができるようAYA世代のがん患者に対して、治療前に精子や卵子などを凍結保存する場合の公的支援をしないかという提案をされていらっしゃいまして、そのときの答弁としては、助成をしている市町があることは把握しているが、国や県の動向を注視するとの答弁で、市としては考えていないというお話でありました。その後、今年度になって、国が11億円の予算を準備して開始されることになりましたので、長久手市の方も支援を受けられるようになります。具体的にどのような助成かということですけれども、まず、43歳未満の方で助成回数は2回まで、内容としては、受精卵の凍結が1回35万円まで、未受精卵子凍結が20万円まで、卵巣組織凍結が40万円まで、精子の凍結2万5,000円まで、また、精巣内から精子を取り出す凍結は1回につき35万円までということで、今まで、これが今後、子供を持ちたいけれども、がん治療をすることによって妊娠する力や妊娠させる力が落ちてしまうということで、それを避けるために自己負担でお金を出してまで、これをされていた方がいると思うんですが、今後は今年度から国が対象にして、愛知県でも6月1日からスタートしたということなので、大きな前進だと思うんですけれども、この内容を市民に周知していく予定はあるでしょうか。
○議長(伊藤祐司君) 福祉部次長。
○福祉部次長(浅井俊光君) 県が実施しております、がん患者妊よう性温存治療費助成事業につきましては、チラシを保健センターで今、設置をしているところでございます。また、今後はですね、広くこの事業を市民に周知するため、市のホームページ等を使い、県の助成事業を紹介していきたいというふうに考えております。
○議長(伊藤祐司君) 再質問はありませんか。さとうゆみ議員。
○12番(さとうゆみ君) 4点目の各種がん検診の受診率についてですが、答弁としては、第2次長久手市健康づくり計画で掲げた、検診受診率の目標を達成しているものは肺がん検診のみでありました。令和5年度までに達成するために、今、新型コロナのこともあるのでなかなか難しいところもあるとは思うんですが、全力で取り組んでいただきたいことと、あと、既に検診を受けた方で要精密検査になりながら、その後、検査を受けずに放置している人が一定数いることが、長久手の保健の統計データから読み取れるので、その方へもしっかりと対応をしていただくことをお願いしまして、この質問を終わります。

~最後まで読んでくださりありがとうございました~