3月議会の最終日、国の GIGAスクール構想に関する補正予算が追加議案として出され、審議を行いました。

GIGAスクール構想とは、小中学生全員にひとり1台のパソコンを整備し、ICT環境を整えるものです。これからはICTの時代ですから、目的を明確にして計画的に進めるのであれば私も賛同できるものですが、現在の文部科学省の進め方には大きな疑問があります。

今回の補正予算は、長久手市の小中学校全9校の校内に高速無線でつながるLAN環境を整備する費用です。国が各自治体へ出す国庫補助金は国の令和元年度の予算なので、各自治体の令和元年度補正予算に滑り込ませて、令和2年度へ繰越明許とすることが条件です。

国はLAN環境整備費の2分の1は国庫補助金として出すと明記していましたが、3月5日になって大幅に下回る額しか出せないと通知してきました。長久手市としても、国庫補助金が出なくなった分を市債(借金)で対応することになりました。県下の他の自治体でも2分の1は出してもらえると思っていたので、次の6月議会で修正したり、急きょ1億円以上を市債(借金)に振り替えたりしていると聞きました。そのように地方自治体を振りまわす文部科学省の進め方はおかしいです。

文部科学省が示しているロードマップによると、令和2年度~令和5年度に、小中学生全員に300ドルパソコン(1台あたり4万5,000円)のパソコンを買うことになっており、令和2年度は全国の小学5年生、6年生、中学1年生の全員分を買う計画です。しかし、長久手市の令和2年度当初予算にはパソコンを買う費用は全く計上されておらず、補正予算で買っていくそうですが、このような多額のお金が動くことを補正予算で行うのは計画性がないです。普通交付税の不交付団体である長久手市にはパソコン購入費1台あたり4万5,000円の3分の2が国庫補助金として出ると書いてありますが、これも下回るようなことはないでしょうか。国が約束どおり3分の2を出してくれても、3分の1は長久手市が出さなければならないので、また市債(借金)でしょうか。 GIGAスクール構想は想像以上に市の負担が大きいものです。

文部科学省は「プログラミング教育を必修化するので、校内LANやパソコンがない自治体はどうにもなりません」という姿勢ですが、私はこのような状況下で必修化することは再検討されるべきだと思います。

文部科学省は昨年11月に大学入試改革で予定されていた英語民間試験の導入を見送り、12月には国語と数学の記述式問題の見送りも発表しました。長年話し合われてきた入試改革の大きな柱を失う見送りです。学校現場や子どもたちはこの入試改革に対応できるように取り組んできましたが、本番の1年前になってほとんどすべてを見送るということはこの国の教育を司る部門としてあってはならない進め方だと考えます。また、先月も文部科学省は準備をしないまま一斉休校に入り、学校現場や子どもたち、保護者を混乱させたこともあってはならないことでした。(これは議会で言っていませんが、森友学園問題や加計学園問題も連なっていることだと感じます。)

今回の GIGAスクール構想のあいまいさは、このような文部科学省の体制の延長線上にあると感じます。私は補正予算に反対したものの賛成多数(反対3、賛成14)で可決されました。地方議会においても自民党、公明党が多数を占めており、文部科学大臣が自民党である以上異論を唱えることは難しいので、どの政党にも属さない私の出番だと思って頑張りました。

案の定、「それなら国会議員の選挙に出ろ」と私に言った議員がいましたが、この問題は私が長久手市議会の立ち位置にいるからこそ見えてきたことです。長久手で子育てをする当事者として、市民の暮らしの一番近くにいる市議会議員として、文部科学省はおかしいと感じたのです。


GIGAスクール構想から引用→文部科学省のページ