7月11日に総務くらし建設委員会の委員9人で古民家を見学したことについて、私は委員長として議員全員に報告する機会がありました。委員全員が事業の再検討をすべきとの意向を示しています。

この古民家は、明治時代に瀬戸の品野村から移築され、二本の鳥居柱を残した構造などから江戸時代後期のものと推定されています。家主は代々農家です。古民家を古戦場公園再整備事業で古戦場公園敷地内へ移築して民俗資料館にする計画がありましたが、移築には多額の費用がかかり、国登録有形文化財登録を前提とした移築技術を持つ人が少ないことから、石田地内の現地で保存活用する市の方針となっています。令和6年度に一般公開予定。
現在、建物のみ市へ所有権移転し、土地は1年更新の無償借地契約となっています。

【事業の再検討が必要だと考える理由】
・明治時代の移築時に新たな部材が使われており、純粋な江戸時代後期の建物とは言えない。そのため江戸時代ではなく、明治期の文化財登録になる可能性がある。移築後もリフォームを重ねており、多額の公金を投入して保存することにふさわしい建物か疑問がある。

・土地は、1年ごとに更新する無償借地契約となっており、不安定である。

・天井崩落や梁の腐朽があり(応急補修工事実施)、床や壁、茅葺も含めて建物の痛みが激しく、多額の修繕費を要すると想定される。

・駐車場として使える面積が狭く、周辺土地での確保も難しいため、人が訪れるには不向きである。

・来年度から市の財政状況は厳しくなり、行政改革として市民に負担増を強いることがあるならば、先に古民家復元事業を見直す必要がある。

・過去に、この古民家より保存価値があると思われる江戸時代の建物である浅川邸(庄屋)を長久手町として保存しないという判断をしている。

最後に私個人の感想です。私の3年半前のブログに「古民家調査委託160万円」に関して「3月議会でも、どこにあるどの古民家なのか具体的な説明は一切なく、良い古民家を探しているという話だったので、私にはどのような次元の文化財なのか理解できないのですが…。長久手市として古民家が本当に必要なのでしょうか?」と書いてありました。つまり、スタート時点で議会に説明をしていません。今でこそ、当時市は古戦場公園に移築する古民家を探していたのだと分かりましたが、古戦場公園に移築もできなくなったので、原点に戻って取りやめることが必要だと思います。