「百聞は一見に如かず」ですね。私は総務くらし建設委員長として、長久手市が保存活用しようとしている古民家の見学を申し入れたところ、実現しました。明治時代に瀬戸の品野村から移築され、二本の鳥居柱を残した構造などから江戸時代後期に建てられたものと推定されています。家主は代々農家だったそうです。


この古民家は、古戦場公園再整備事業で古戦場公園敷地内へ移築して民俗資料館にする計画がありましたが、移築には多額の費用がかかり、国登録文化財を前提とした移築技術を持つ人が少ないことから、石田地内の現地で保存する市の方針となりました。

これまで市の話を聞きながら、委員9人それぞれが漠然とした疑問や不安を抱いていましたが、実際に見学したら「市の言うとおりに進めると大変なことになるのでは?」という確信に変わっていきました。理由は、「来年度予算が財源不足で組めない」と市が言っているほど財政状況がひっぱくしていること、過去にこの古民家より貴重な江戸時代の建物である浅川邸(庄屋)を保存しないと判断していること、この古民家の中心のものは江戸時代のものですが明治時代に瀬戸から移築された時点で別の材料が使われ、最近まで暮らしていたように改築が重ねられていること、傷みが相当激しいことなどです。

今の時代になかなかお目にかかれない鳥居建造の建物ではあるので、際限なくお金が使えるのであれば江戸時代当時に復元して保存活用することも選択肢としてあると思いますが、古民家に多額の費用を投入することによって市民生活に直結するものを切り詰めなければなりません。

この古民家にはすでに雨漏りなどの緊急修繕に約1,000万円を使っています。令和元年度は、どのような修繕が必要なのか明らかにするための業務委託に247万円、整備コンセプトの作成・管理運営方法の検討などの整備方針策定業務委託に722万円を使おうとしています。ここまでですでに2,000万円超!本格的な修繕をすると1億円を超えるでしょうか?建物は市に所有権移転をしていますが、土地は今後も1年更新の無償借地です。大丈夫でしょうか?