ふるさと納税制度は、地方自治体の創意工夫で行ってほしいということで国がスタートさせましたが、国は途中からこれはダメ、あれはダメと返礼品に規制をかけ、返礼品の調達費も制限してきました。さらにこの度は、地方税法まで改正して、この6月から4自治体(大阪府泉佐野市、静岡県小山町、和歌山県高野町、佐賀県みやき町)をふるさと納税制度の対象から除外する方針としています。地方分権の時代に、地方分権とは逆行する中央集権的なやり方ですね。ふるさと納税制度自体に反対の東京都は自ら辞退し、除外4自治体と辞退1自治体で5自治体が制度から外れるというよく分からない展開に…。

長久手市において、平成30年にふるさと納税で市外の自治体へ寄付した長久手市民は2,704人で、総額は3億3,655万6,304円です。この方々が寄付金控除を受けたことにより、本来長久手市へ入ってくるはずの個人市民税約1億4,000万円を失いました。交付税の交付団体は、ふるさと納税による減収分の75%を国が補てんしますが、長久手市は財政が安定しているとして国から交付税を受けない不交付団体なので、減収分はまるっと失います。

今年3月、国はふるさと納税で多額の寄付を集めた自治体に対して特別交付税をゼロにしており、私も“そんなペナルティのような約束がどこにあったの?”と驚きました。春日井市では、国から返礼品として自転車はやめるよう注意を受け、市が返礼品から外したところ、大量の在庫(1億4500万円相当)をかかえた業者が春日井市を提訴するということも起きています。一体誰が自転車の在庫の責任を負うことになるのでしょうか…。返礼品は地場産品でなければならないということですが、地場産品の概念とは明確に何でしょうか?

国の制度設計の不十分さが要因で発生する問題をやっつけ仕事のように制限して、このままふるさと納税制度を続けるべきでしょうか。そして、寄付金控除の恩恵を受けられる高額所得者ばかりが次から次へと返礼品を手にすることができる制度であることにも私は納得できません。税における寄付金控除とは、本来このような意味合いと違うのでは???