12月7日、定例教育委員会を傍聴しました。その後、同時刻に開催されていたためほとんど終わりがけでしたが、「第1回古戦場公園再整備アドバイザー会議」を傍聴しました。

どちらの会議にも出てきたのは、今年度基本計画が完成する古戦場公園再整備の件。



再整備に合わせて古戦場公園内に移築するはずだった古民家は、多額の費用がかかるため現地(石田地内)で保存することになりましたが、今回の資料には「古民家移築を視野に今後検討される西側ゾーンのイメージ」とあり、現地保存の古民家とはまた別の古民家を移築する選択肢が十分に残っていることが分かりました。市が古民家を2つ持つことが必要でしょうか?長久手市は来年度から平成34年度まで歳出が歳入を上回る厳しい財政状況が続く見込みですから、現地保存の古民家も本当に必要でしょうか?

以下は、私さとうゆみの平成30年6月議会一般質問です。
(平成30年第2回定例会会議録から引用)
○13番(さとうゆみ君) 3項目め、市が古民家を二つ所有することが必要か。
 (1)「古戦場公園再整備基本計画」により、市内に現存する江戸時代後期の鳥居づくりの古民家を古戦場公園内に移築する予定でしたが、移築に1億円かかるため現地で保存活用することとなりました。古戦場公園には別の古民家を移築するという市の方針ですが、市が古民家を二つ所有する必要があるのでしょうか。
 (2)現地で保存活用する古民家には、平成30年度1,170万円の予算を計上し、応急的な修繕がされます。今後さらに高額な修繕費がかかりますが、この古民家をどのように活用していく考えでしょうか。
 (3)「古戦場公園再整備基本計画」に記載の「歴史民俗体験施設」は、移築の古民家でなければならないのでしょうか。
 以上です。
○議長(川合保生君) 質問は終わりました。続いて、当局の答弁を求めます。くらし文化部長。
[くらし文化部長 加藤正純君登壇]
○くらし文化部長(加藤正純君) 市が古民家を二つ所有することが必要かについて、3点御質問をいただきましたので、お答えさせていただきます。
 1点目から3点目までは、全て関連がありますので、一括して答弁させていただきます。
 市内に現存する文化財的価値を有する古民家については、後世に継承していく必要があります。このような古民家を個人が保存活用していくには限界があるため、必要に応じて市が歴史的、文化財的価値の高い古民家を保存活用することは、必要と考えます。
 現地で保存活用する古民家については、国登録有形文化財を目指すこととし、必要な補修工事等を行い、保存活用計画を策定する中で、活用方法を検討します。
 また、古戦場公園に整備を予定している歴史民俗体験施設については、長久手の歴史民俗資料の展示、体験学習、集会及び市民が公園を管理運営するためのパークマネジメント組織の拠点機能等を考えています。古民家の移設に限らず、これらの機能に適した施設整備を検討します。
○議長(川合保生君) 再質問はありませんか。13番さとうゆみ議員。
○13番(さとうゆみ君) 私は二つは必要ないと考えるという視点と、現地保存を決めた古民家の今後の必要経費や活用方法はどのようかという視点の2点から質問をいたします。
 まずお手元の補助資料をごらんください。長久手市は、現存する江戸時代後期の建物を譲り受けて、古戦場公園内に移築し、歴史民俗体験施設にするとともに、国登録有形文化財の登録を目指していました。ここでいきますと、西側ゾーンの上の当たりに歴史民俗体験施設がありまして、裏のほうをめくっていただきますと、裏に古民家が描かれています。この古民家は移築される予定の江戸時代後期の建物であります。しかし、ここに持ってこれば、これで一旦終わったかもしれないんですが、ここに移築するために非常に費用がかかるということで、この絵に描いてある古民家は石田の交差点近くの現地で保存をいたしまして、また、別の古民家を移築するという考えも持っているということを聞いております。
 そこでまず現地保存を決めた古民家は、どのような価値のあるものか、移築から何年で、建造から何年たつようなものでしょうか。
○議長(川合保生君) くらし文化部長。
○くらし文化部長(加藤正純君) 現存する古民家につきましては、明治時代に瀬戸の品野村にあった旧家の母屋を移築したものとされ、二本の鳥居柱を残した構造などから江戸時代後期に建てられたものと推定されていますが、正確な移築年数、それから建造年数は把握していません。この古民家の家主は代々農家だったということを伺っております。市内に現存する最も古い民家であり、現地には柿の木、かわやなど、昔からの長久手の原風景が残っておりまして、国登録有形文化財としてその場に保存し、文化財として後世に残していくことが重要であるというふうに考えております。
○議長(川合保生君) 13番さとうゆみ議員。
○13番(さとうゆみ君) その現地保存を決めた古民家は、ほぼ確実に国登録有形文化財にできるのか、どのように確認をしていらっしゃるのでしょうか。
○議長(川合保生君) くらし文化部長。
○くらし文化部長(加藤正純君) 現存する古民家につきましては、今後詳細な調査の上、必要な修繕を実施し、文化庁や県と協議しながら国登録有形文化財の登録に取り組んでいくところでございますが、現在、県の担当者に現地確認をしていただいたところ、修繕等の条件を整理することで、登録の見込みがあるとお伺いをしております。
○議長(川合保生君) 13番さとうゆみ議員。
○13番(さとうゆみ君) その現地保存の古民家は外観を見るだけでもかなりの修繕費が必要と思われます。私は先日、日進市が保存管理している同じく鳥居造の旧市川家住宅を見に行きました。日進市は、平成24年11月に建物と土地を所有者から寄贈という形でもらい受けております。貴重なものと判断したと市は業者へ委託して、設計業務に600万円かけた上で8,500万円ぐらいの修繕に入っております。長久手市は今年度1,170万円の修繕費が予算計上されておりますが、設計業務をしないで、どのような修繕をされる予定でしょうか。
○議長(川合保生君) くらし文化部長。
○くらし文化部長(加藤正純君) 現存する古民家につきましては、現状建物に雨漏りや床がいわゆる抜け落ちている箇所があります。今年度実施する古民家修繕工事において、これは応急的な修繕、補修を行うことにより建物の傷みが進行しないようにするものでございます。また、今後につきましては、文化財としての価値を損なわないよう、詳細な調査を実施いたしまして、専門家の御意見を取り入れながら古民家の保存状態を正確に把握するとともに、将来的な修繕方針を確定し、修繕する必要があると考えております。
○議長(川合保生君) 13番さとうゆみ議員。
○13番(さとうゆみ君) 現地保存の古民家は、恐らく日進市の例からいきますと、1億円ぐらい改修にかかるとともに、なおかつ土地は市のものではありませんので、今後多額の修繕費をかけて市が保存管理をしていくのであれば、土地を取得する必要も出てきます。そうしますと、当初から2億円ぐらいの費用が、スタート時点から必要になってきますので、もしかしたら古戦場公園に移動させられるならお金がかかっても、古戦場公園は80年前から国指定史跡になっておりますし、近くにはリニモ駅やイオンができておりますし、リニモテラスももうすぐできるなど、多くの人に見てもらうにはお金がかかっても古戦場公園内に移築することがよいとも思えるのですが、その選択肢は今のところはないのでしょうか。
○議長(川合保生君) くらし文化部長。
○くらし文化部長(加藤正純君) 当該古民家は、市内に現存する最古の古民家であり、国登録有形文化財として一般公開し、後世に伝承していくことは、行政の役割だと考えています。庭を含めて、昔からの長久手の原風景がそこに残っているため、その場に保存し、文化財として後世に残していくことが重要であるというふうに考えております。
○議長(川合保生君) 13番さとうゆみ議員。
○13番(さとうゆみ君) その現地保存のほうは現地のままで保存するという市の意向ということですね。古戦場公園再整備基本計画には、歴史民俗体験施設は、木造茅葺、鳥居造民家を移築と明記をされております。それが今の市の方針で現地で保存するということになっておりますが、先ほどの1回目の答弁で、古民家の移築に、この新たな古戦場公園につくる歴史民俗体験施設ですが、それは古民家の移築に限らず、適した施設を検討という答弁でありましたが、別の古民家を探すというのは、もう諦めたということでよろしいでしょうか。
○議長(川合保生君) くらし文化部長。
○くらし文化部長(加藤正純君) 歴史民俗体験施設につきましては、計画している機能を実現するために、市内の古民家も含めてでございますけれども、現時点では移築可能な古民家が定まっていないことから、この古民家にこだわらず考えていきたいということでございます。
○議長(川合保生君) 13番さとうゆみ議員。
○13番(さとうゆみ君) こだわらず考えるということでありますが、その選択肢の中には、今、古民家の移築というのも含まれている状況だと思うんですね。今年度、古戦場公園再整備の基本設計が進められていきますが、今の答弁ですと、西側の部分をどうするのかの結論が今出ていないんですが、いつごろ西側部分をどうするのか、どういう結論を出されるのかお尋ねいたします。
○議長(川合保生君) くらし文化部長。
○くらし文化部長(加藤正純君) 今年度基本設計業務を今プロポーザルにおいて発注をしているところでございます。今の段階では、まだ具体的な西側ゾーンの施設についての提示はしておりません。ただし、基本設計を進めなくてはなりませんので、今年度内にある程度のめどは立てて、平成34年度の供用開始に向けて進めていきたいというふうに考えております。
○議長(川合保生君) 13番さとうゆみ議員。
○13番(さとうゆみ君) 私は、古民家二つは要らないと思うものの、この有識者会議の会議録を見ますと、ここが古民家でなければならないような印象も受けるんですが、平成29年3月1日の古戦場公園再整備基本計画策定第2回有識者会議というものが開かれておりまして、古民家の移築について、有識者会議で座長の方が二つの意見に分かれているということをおっしゃっております。一つは、古戦場の時代のものと江戸時代の民家では時代が違うので移築はふさわしくないという意見と、もう一つは、長久手市には博物館がないので、古民家を貴重な文化財として確保できたならば、移築をして歴史民俗体験施設をつくろうという賛成の意見と二つに分かれております。ここまでで移築予定の古民家を移築しないとなると、根底からこの有識者会議の条件も変わってくると思うんですが、その後この有識者の方々はどのようにおっしゃっているのでしょうか。
○議長(川合保生君) くらし文化部長。
○くらし文化部長(加藤正純君) 基本計画の策定時に、さまざまな御意見については、これは認識をしております。移築に適した古民家が見つからない場合は、建物を建築しないことも含めて基本計画を進めていく中で結論を出していきたいと考えております。なお、基本設計においても、策定する中で、有識者の方々から御意見をいただく機会を設けて、進めていこうと考えておりますので、その中でまた改めて意見をお伺いしたいと思っております。
○議長(川合保生君) 13番さとうゆみ議員。
○13番(さとうゆみ君) そうしますと今の答弁ですと、古戦場公園には、もしかしたら古民家を探して移築するかもしれないし、また全然違う建物を建てるかもしれないし、何も建てないかもしれないという、その三つの選択肢があるという中で、今年度基本設計を進めるという状況で、途中で道に迷ってしまうのではないかなというような印象を受けます。
 それでこの歴史民俗体験施設は、この古民家だからこそ中で、今長久手小学校に保存しているような農機具とか、昔のものは収蔵庫を横に建てて入れながら、そこで展示をするというようにコンセプトが書かれておりますが、現地保存で石田の交差点近くのほうに保存するのであれば、その歴史民俗体験施設自体を石田の交差点のほうに持っていったほうがいい可能性を、そして収蔵庫もあわせて、現地保存の古民家に持っていったほうがいいように思いますが、その点については、いかがお考えでしょうか。石田の交差点のほうの古民家は、とりあえず中にはいろんなものを置かずに、建物自体を見るということでしょうか。
○議長(川合保生君) くらし文化部長。
○くらし文化部長(加藤正純君) 現存する最古の古民家については、従来から申し上げているとおり、国の登録有形文化財として、これは保存していく予定でおります。この具体的な活用については、また保存活用計画の中で定めていくことになります。そのときに、国だとか、県の方からもいろいろと御意見を聞いて進めることになりますので、いわゆる歴史民俗資料館的な整備については、やはりこれは難しいと考えております。
○議長(川合保生君) 再質問はありませんか。
○13番(さとうゆみ君) ありません。
○議長(川合保生君) 次の項目の質問に移ります。13番さとうゆみ議員。