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 愛知中部水道企業団の議会運営委員会の視察で公益社団法人日本水道協会と東京都水道歴史館を訪れました。

 日本水道協会では、水道事業の現状を学びました。日本の水道が初めて作られてから今月で丸130年を迎え、水道事業の直面する課題がたくさん出てきています。1つは、人口減少社会の到来です。日本の人口は2010年の1億2,806万人をピークに減少しており、2060年には8,674万人に、2110年には4,286万人に減ると推計されています。人口減少により水道使用量が減り、収入が減ります。しかし、老朽化した水道管の更新が必要であることや、人口が12.4%減っても世帯数は4.6%しか減らないと見込まれていることから維持費はあまり減らない見込みです。厚生労働省は、日本全体の水道の維持には年間1兆4,000億円を投入することが必要としていますが、実際は年間1兆円ほどしか投入できていません。水道管路の法定耐用年数は40年ですが、平成27年時点で日本全体の13.6%が法定耐用年数を過ぎて使用されています。今のペースで老朽化した水道管路を更新していくと130年ほどかかることになり、中には法定耐用年数40年の3倍ほど使う可能性が出ています。30年後には法定耐用年数を過ぎたものが59.5%となり、水道管路の老朽化が深刻な問題となっています。老朽化した水道管が破裂して道路が陥没し、車がはまってしまうことが日本のあちらこちらで起きてしまいます。
平成27年時点の水道施設における耐震化の状況は、基幹管路で37.2%、浄水施設で25.8%、配水池で51.5%です。水道事業者ごとに耐震化の進み具合に大きな開きがあることや、浄水施設で耐震化が進んでいないことが課題です。
水道事業の職員が行政改革などにより30年前に比べて3割減らされています。現在50才以上の職員が全体の36%を占めており、今後10年で定年を迎えるにあたり、水道技術をどのように継承していくかが課題です。
 「水道法の改正案」が国会に出され継続審議中でしたが、今回の衆議院解散により廃案となりました。改正の趣旨は「人口減少に伴う水の需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等の水道の直面する課題に対応し、水道の基盤の強化を図るため所要の措置を講ずる」とあります。主な内容は、「関係者(国、県、市町村、水道事業者)の責任の明確化」「広域連携の推進」「適切な資産管理の推進」「官民連携の推進」「指定給水装置工事事業者制度の改善」です。水道事業体が自ら資産管理をしっかり行い、採算が合わない場合は広域連携や事業統合、水道料金の値上げを考えよという国の方針です。
平成8年の阪神淡路大震災発生時、被災側はどのように助けてもらうかルールがなく、全国から駆けつけた応援がバラバラに入るという事態となったため、国は平成8年に「地震等緊急時対応に関する報告書」を作成しました。その後も、新潟県中越地震、能登半島地震、新潟県中越沖地震、岩手・宮城内陸地震、東日本大震災が発生し、国は平成25年に「地震等緊急対応時対応の手引き」を改訂しています。水道事業体等が、被災時にどのように応援活動をしてもらうのか、費用負担はどうするのかのルールを平常時に明確にしておき、地震等緊急時に対応できるようにすることが目的です。

以上、私が学んだ内容の概要です。この現状を踏まえてどうすべきか、よく考えてから私の所感を書き足したいと思いますが、皆さまはいかがお考えでしょうか。

続いて、東京都水道歴史館へ。
地下鉄御茶ノ水駅で降りて徒歩8分で到着しました。東京都水道局の施設です。江戸時代から現代までの水道の歴史を学ぶことができます。
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木で作られた江戸時代の水道管(木樋)

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江戸時代の長屋の様子

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神田上水の石樋(せきひ)=石でできた水道管

 私は引き続き企業団の議会運営委員になっているので、日本水道協会も東京都水道歴史館も2年前に来たことがあるのですが、再び訪れてより知識が深まりました。私以外の議員は全員メンバーチェンジ。
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