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 今日は、第66回社会を明るくする運動記念講演会を聴きました。長久手、日進、豊明、東郷で日頃から社会を明るくする運動に関わっている方々が参加する講演会で、私は今年教育福祉委員会委員長なので声をかけていただきました。

社会を明るくする運動とは、すべての国民が犯罪や非行の防止と罪を犯した人たちの更生について理解を深め、それぞれの立場において力を合わせ、犯罪のない地域社会を築こうとする全国的な運動ということです。担当は法務省で、強化月間は7月1日~7月31日です。

今日の講演会の講師は瀬戸少年院教育調査官の宇田正志氏、テーマは「少年の非行の現状と立ち直りを支えるもの」。

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まず、少年の非行は増えているのか?
昭和の時代から一般刑法犯少年検挙人数は減少傾向であったものの、平成7年頃から上昇に転じ、平成17年頃には定員160人の少年院に簡易ベッドを入れるなどして180~190人を受け入れていたそうです。自販機あらし、自動車盗難、空き巣に少年が関わっていたようです。防犯ボランティアを10倍に増やすなどの社会活動により、近年少年の検挙人数は大幅に減少しています。

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少年の非行は凶悪化しているか?
平成15年頃にピークだった強盗(主にひったくり)は今では4分の1に減っているそうです。平成13年頃には、集団リンチによる殺人が多々発生していましたが、最近はぐっと減っています。

少年の非行は低年齢化しているか?
平成14年頃から14歳未満の少年の比率が年々増加しています。つまり、少年の非行、凶悪犯罪は全体的に減っているものの、非行の低年齢化が読み取れます。

非行減少は暴走族の減少と関係があるそうです。平成元年頃には、1グループ50人ほどだったのが、平成13年頃から1グループ10人ほどに減っています。かつては50人ほどをまとめる暴走族のリーダーは人がついていこうと思える魅力、能力を持った人物だったが、最近はリーダーになる人物のコミュニケーション能力が低下しており、グループの存続期間が短くなっているそうです。

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薬物非行も減少しているそうです。まちの防犯活動が活発化し、シンナーを吸う人が減少したことが要因のようです。 
 
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講師も気になると言っていましたが、平成20年頃から大きく増えているのは家庭内暴力です。被害に遭うのは60%が母親、次いで家財道具13%です。小さいときは親が子どもを力で押さえつけられるが、中学生ぐらいになると力が逆転し、子どもは暴力によって人をコントロールできることを学ぶのです。

また、講師が少年と関わる中で感じることは語彙が少なくなっていることだそうです。悲しくてイライラしているのか、怒っていてイライラするのか、切なくてイライラするのか、現代ではそのような感情を表す言葉がすべて「ムカつく」となっており、自分の感情が整理できず、感情統制ができなくなっています。自分の気持ちも整理できないため、人の気持ちも理解ができず、共感力が乏しくなっているそうです。自尊感情が低いことも問題で、どうせダメだからと逃避することにつながるということです。仕事へ行って怒られた→仕事へ行かなければ怒られないから仕事へ行かないという逃避が、ホームレスになったり、生活保護を受けたり、犯罪を犯したりすることにつながっているようです。

少年は、声をかけてもらいたい、ほめてもらいたいと関心を求めているそうです。非行の問題を家庭や家族の問題としてとらえている家庭では出院後の就労、就学が良好であるが、家族が非行を子ども自身の問題としてとらえている家庭ではなかなか良好にはいかないようです。

犯罪を思いとどまらせる心のブレーキは、人との関わり。非行少年の立ち直りを支えるものは、ちょっとしたこと(愚痴)を否定せずに聞いてくれる場所があること、家にいることが苦しくなったときにいられる場所があること、地域で活躍できる場所があること、家庭内暴力の被害者の6割が母親であることからも母親を孤立させないことです。足元だけ明るくて少し進んだら先が見えなくなるような支援ではなく、進む道がうっすらと見える支援が大切ということでした。

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私は中学生の息子がいて、小さい頃から一緒だった仲間が立派に成長していく姿を見てきて、子どもたちはみな非行の道ではなく、正しい道で活躍してほしいと心から願っています。