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 私もこの5年間メンバーになっている"次世代の子どもたちのいのち・くらし・エネルギーを考える会"で武藤類子さんをお招きして講演会を開催しました。

武藤類子さんは、福島県三春町在住で、福島第一原発事故発生以来住民や避難者の人権と健康を守る活動をしています。現在、福島原発告訴団の団長です。

長久手から私と同年代のお母さんが何人か来てくれましたが、「日頃の報道では聞く機会がなかった事実を知ることができた」と言っていました。私は、この事実を日本国民全体が直視して考える必要があると強く感じました。

まず、放射能汚染水が海に漏れている問題があります。凍らせて汚染水が流れないようにする凍土壁には、国費(税金)319億円が投入されていますが、この対策も難航しているそうです。

福島県内には除染した土を入れたフレコンバッグが190万個あるそうです。昨年9月には飯館村で大雨の際に数百㎏~1トンのフレコンバッグが439個流され、袋が破れたり、中身が空になったそうです。仮置き場がないときは家の庭にフレコンバッグを埋めて、人が暮らしています。さらに埋める庭もない場合は容器に入れて保管しているということです。除染に携わる人は、半分が福島県民、半分は日本全国から来ています。原発作業では作業服などが厳しく決められていますが、除染の作業員は決められていないため、薄い手袋で除染をしていたり、被ばく労働が続いているそうです。

除染したところに汚れていない土を入れるため、山を崩して土を取っており、人間だけでなく山に住む動物もまた山を追われているという事態になっています。

福島県では100ベクレル以下は一般の焼却炉で燃やしてもよいというルールでしたが、原発事故後突然8000ベクレルまでは燃やしてもよいことになったそうです。仮設の焼却炉は3~5年しか使えませんが、1基500~600億円かかり、原発でもうけていた企業やゼネコンがまた請け負いお金が流れています。仮設の焼却炉を壊した際には高い濃度の放射能が残ります。

一昨年9月に帰還困難区域内にあったため封鎖されていた国道6号線が開通したそうですが、4~7マイクロシーベルトという高い数値のところを子どもも妊婦も制限なく通っているそうです。1日1万台もの車が通過しています。国や県は、法律で定められた年間1ミリシーベルトまで放射線量が下がっていないのに、避難区域を解除し、区域内の住民の精神的損害賠償や避難先の住居無償支援を打ち切ることにしています。

原発事故当時18歳以下だった約37万人のうち約30万人が検査を受け、がんとがの疑いがある人が166人になりました。検討委員会では、当初は「原発事故との関連は考えにくい」との発言でしたが、最近になって「関連がないわけではない」、「多発には関連がある」との委員の発言も出てきています。

真実が明らかにされていないこと、責任が問われていないことが問題だとし、福島県民などによる告訴団が東京電力の幹部らを刑事告訴をしましたが、検察庁は容疑者全員を不起訴処分としました。告訴団は、不起訴処分を不服として検察審議会に申し立てを行ったところ、東京第五検察審査会が東電元幹部ら3人を起訴相当と議決しました。しかし、検察庁が再び不起訴としました。2015年7月31日に東京第五検察審査会2度目の議決を発表したことで、強制起訴されることが決定しています。

検察審査会が起訴議決をした理由は以下の3つです。
1電力会社の役員には高い注意義務がある
2大津波と事故を具体的に予見できた
3対策を取れば事故を回避できた

協力してくれる5人の弁護士も決まり、今年の3月11日までに起訴状を提出するということです。
福島原発刑事告訴支援団も発足しました。裁判を支援しながら、未来のことを一緒に考えましょう。