昨日に引き続き、議会運営委員会の視察報告をアップします。


京丹後市議会視察 さとう ゆみ


 平成26年1月23日京都府京丹後市議会を視察した。目的は、「議会改革に着手した経緯」、「予算決算の審議方法」、「市民と議会の懇談会」について学ぶためである。


京丹後市は、平成16年に6つの町が合併してできたまちで、毎年人口が減ってきており特に若者の流出が多いという。6つの町が合併して市になった当時6つの町で合計94人いた議員を30人にまで減らした。6つの町は合併前でも財政的に豊だったわけではないため、合併特例(1つの市の法定議員数の上限は30だがそれより多くすること)を適用することもできたが、適用しなかった。


平成17年3月議会に「議会改革特別委員会」を設置し、平成18年9月から議会改革を本格的に着手した。合併当時94人いた議員を市になった段階で30人に減らし、現在は22人にまで減らしている。合併後は30人になったが、その次に迎えた選挙では現職30人のうち15人しか立候補しなかったということである。議会改革に熱心に取り組む体制に入り、議員として拘束される時間が長くなり、例えば農業をしながら議員をしていた人は9月議会で稲刈りができない状況になるなど、兼業が難しくなったためであるという。議員報酬や議員定数についての議論を進め、議員定数や議員報酬を削減する案を議員提案で出し、減らしてきた。代表質問、個人質問の項目や日時を記載したチラシを新聞折り込み(費用は1回14万円年間55万円ほど)し、始まる前に市民が議会や一般質問が身近に感じる取り組みをしている。平成22年からは「議会活性化検討委員会」を設置し、委員会のあり方や議会基本条例の検証、市民へのアンケート調査などを実施してきた。


予算、決算を審査する際に1つの議案(一般会計予算、一般会計決算など)を分割して委員会付託するのは違法とのことで、いったん予算(決算)特別委員会に付託し、3つの分科会に分割付託している。委員の構成は、決算は議長、監査委員である議員を除く全員、予算は議長を除く全員としている。委員長は、あて職で副議長がなる。予算特別委員会(決算特別委員会)の中で各分科会の座長が審査した内容を説明し、座長がその説明に対する質疑を受ける。分科会では採決は行わず、本会議でのみ採決を行う。本会議では、委員長である副議長が委員長報告を行う。その際、質疑は省略して採決を行う。現在は特別委員会であるが、予算決算常任委員会にすることも視野に入れているという。


京丹後市議会では、定例会(年4回)ごとに「市民と議会の懇談会」を開催している。開催場所を12カ所としていたこともあったが、現在は定例会ごとに旧6町で1カ所ずつ実施している。当初は「議会報告会」という名称であったが、「市民と議会の懇談会」に変更し、議会からの報告は15分程度にとどめ、残りは市民との意見交換会としている。


京丹後市では、議員が議員としての役割をしっかり果たしているが、一方で執行部が出す資料も充実している。京丹後市長は元総務省にいた方だそうで、知り尽くしているからこそなせる業であるとも思うが、市は積極的に議員への説明、市民への情報公開を進めている。