昼休憩のチャイムが鳴った瞬間、スマホを手に取り、彼はすぐに電話をかけた。
求人サイトで見つけた「日曜限定・倉庫仕分け作業」。
時給1500円、週1でもOK。――だが、彼の狙いは毎週フル出勤だった。
「繋がらないか…昼休みだからかな」
ため息とともに、すぐに応募フォームへ切り替える。
入力を終えた瞬間、気分が少し前向きになる。
「よし、これで一歩前進だ」
帰宅後、彼は湯を沸かしながらもう1件の求人を読み込む。
お気に入りに追加し、リストの中のメモにはこう書いた。
“日曜バイトが軌道に乗ったら、次はここ”
彼が副業を始めた理由は、単に「お金を増やしたい」だけではなかった。
物価上昇、ガソリン代の高騰、電気料金の値上げ――静かに財布を蝕む変化たち。
少しの備えが、数か月後の自分を救うと信じていた。
時給1500円、8時間働けば1日1万2000円。
月に4回なら4万8000円。
もしも毎週働けば、年間で約60万円。
それは、家電の買い替えに使えるかもしれないし、突発的な出費を乗り越える安心材料になるかもしれない。
週1日、日曜の努力は、未来の自分への「保険」であり、「投資」だった。
小さな挑戦は、やがて彼の生活を支える柱の一部になる。
気づけば、読書リストもリスキリングも、副業も、すべてが「自分経済」の再設計だった。
そして彼は今日もまた、スマホを片手に未来への応募ボタンを押す。
たった1日の労働が、人生を変える第一歩になることもある。
それを選ぶのは、いつだって自分自身だ。