江戸時代末期、越後の小さな村に住む若者、修次(しゅうじ)は、家業である染物工房を継ぐことを決めかねていた。

修次は父の背中を見て育ったが、手間暇かかる染物よりも町で使われる「金」というものに魅了されていた。

ある日、村を訪れた商人から、江戸の市場では銀貨や金貨が行き交い、誰もが自分の夢を追い求めていると聞かされる。

その話を聞いた修次は、家を出て江戸に行くことを決意する。

旅立ちと初めての貨幣
江戸に着いた修次は、繁華街の活気に圧倒される。

そこで「一文銭」で米を買う商人や、「一分銀」で高級品を手に入れる武士を目にし、お金の重要さを痛感する。

修次も染物の腕を活かし、町の人々に布を売り始める。

だが、町人たちが価格を値切ったり、支払いを遅らせたりする現実を知り、「お金」とは単なる便利な道具ではないと感じ始めた。

時代の変化と貨幣改革
やがて幕末の動乱が江戸の空気を一変させる。

新政府が金本位制を導入すると噂が広まり、旧貨幣が価値を失う恐れがあると聞いた修次は、手持ちの銭をどうするべきか悩む。

そんなとき、知り合った新政府の役人から「貨幣は時代とともに変わるが、人々の信頼が本当の価値だ」と教えられる。

故郷への帰郷と新たな発見
数年後、修次は村へ戻る。

江戸での経験を通じて得た知識を活かし、染物工房を再興することを決意する。

彼は商品を広域に売るために貨幣経済を取り入れ、村にも新しい風を吹き込む。

修次の布は都市でも人気となり、村全体が活気を取り戻した。

ある日、修次は古い一文銭を手に取り、初めて江戸で米を買った日のことを思い出す。

その一文銭は彼にとって、ただの銭ではなく、時代の変化を象徴する「時の貨幣」となっていた。