一面に広がるサルビアとコスモス──「花と人形のまち」鴻巣市(埼玉県) | TABIBITO

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埼玉県鴻巣市を訪れた。
 
鴻巣市は、埼玉県のほぼ中央に位置し、古くから中山道の宿場町として栄え、「ひな人形のまち」として有名で、さらに「花のまち」としても全国にその名が知られている。「花と人形のまち」である。
 
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鴻巣市では、その名前の由来として「こうのとり伝説」というのがある。

昔、鴻巣の宮地(みやじ)に小字(こあざ)本宮(もとみや)に小さな祠(ほこら)とそばには一本の大きな樹が立っていた。お供えを怠ると必ず祟りがあると言うことで、村人たちは苦しい生活の中でも欠かさずお供えをしていた。村人たちはこれを”樹の神”と呼んで畏れるようになった。
ある日、隣村の男が祠を汚す事件が起こり、その時から猛烈な日照りが続いた。
そんな中、どこからか一羽のコウノトリが飛んできて樹のてっぺんに巣を作り卵を生んだ。そこに卵を獲りに一匹の大蛇が現れた。コウノトリは大蛇と戦い、大蛇の頭をくちばしで突き刺して退治した。
すると、それまでの日照りが嘘のように突然雨が降り出しました。村人たちはコウノトリに感謝して新しい祠を祀り、鴻の宮(現在の鴻神社)とした。そして、地名も鴻巣と呼ばれるようになった。
 (詳しくは鴻巣市HPでhttp://www.city.kounosu.saitama.jp/11,0,37,297.html
 
もうひとつの由来としては、古代に武蔵国造(むさしのくにのみやつこ)である笠原直使主(かさはらのあたいおみ)が現在の鴻巣市笠原のあたりに居住したとされ、また、一時この近辺に武蔵の国の統治を行う機関(国府)があったのではないかと推測されることから、「国府の洲(中心) こくふのす」が「こうのす」となり、後に「こうのとり」の伝説から「鴻巣」の字をあてるようになったともいわれる。
 
さまざまな歴史伝説もあり、おもしろい街である。

 
まず、鴻巣市のはずれ、川里地区にある古民家を利用した「花久の里」へ。
 
 
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敷地にはサルビアやコスモスなどが咲いていた。
施設内の奥にある「花音里うどん」で「田舎汁もりうどん天ぷら付き」を食べた。これだけのものが750円で食べられるのはお得である。
「川幅うどん」というのが名物で、市内を流れる荒川が、鴻巣市と吉見町の間で川幅が日本一広いということで、それにちなんでできたそうだ。ただし、この地域では、もともと昔から「ひもかわ」と言う太めの平麺が作られていたそうだから、その発展系なのだろう。
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次は、寺谷地区にある「花のオアシス」だ。
畑と田んぼに囲まれた広い敷地に、2万本といわれる真っ赤なサルビアと黄色のマリーゴールドが一面に咲いていた。
 
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サルビアの出荷量は鴻巣市が日本一だそうだ。
春には3万5千本のチューリップが一面を埋め尽くすらしい。
 
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昔「いつもいつも思ってた サルビアの花を…」という歌があったが、歌だけではなく、たいへん身近にあった花だった。
サルビアの花が咲くと、子どもたちが競い合うように、蜜を吸って歩いたものだった。いつもこの花の下には、蜜を吸ったあとの花びらが地面に散らかっていたものだ。
しかし、最近は都会ではそういう姿を見なくなった。
 
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次は、荒川の河川敷にひろがる約4.3ヘクタールの敷地にコスモス1000本が咲くという「荒川花街道」。ちょうど身頃で、平日だというのに刊行バスで来た人たちもいた。
 
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ピンク以外にも、黄色、白、赤紫、オレンジなどさまざまな色のコスモスも咲いていてて、見ていても飽きない。
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勝願寺にも足をのばした。
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勝願寺は、1240年代に、鎌倉時代4代執権北条経時が鎌倉の光明寺開山の良忠に登戸の地を寄進し、
お堂を建立した事に始まる。
戦乱によって、衰退した勝願寺を、1573年、清厳上人が現在の場所に再興したとされる。
1593年、徳川家康が鴻巣で鷹狩りを行った際に、勝願寺を訪れ、二世住職・円誉不残上人に感銘を受け、様々な宝物を寄進、三つ葉葵の紋を使用することを許可した。
徳川家康は、1597年、1601年、1604年にも鴻巣を訪れ、鷹狩りを行っている。
しかし1872年の竜巻により御殿は全壊、1884年の火災により本堂、庫裏、鐘楼、仁王門など殆どの施設や宝物は失われた。
その後、1893年に本堂、1920年に仁王門が再建され現在に至っている。

 
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帰りに、喫茶店を探したが見つからず(目当てにしていたところは廃業していたようだ)、上尾駅前の「ベルーナ」という喫茶店に入った。チェーン店なのだろうが、なかなか落ち着いてよかった。
 
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秋の色鮮やかな花々に囲まれ、そして古い歴史探訪寺めぐりの一日だった。
回りきれなかったところもあり、また、ぜひ鴻巣に来てみたい。