自分の中では、もう


『閉じられた世界』だと思っていた。



もう、足を踏み入れることはない世界。


そう思っていた。







久しぶりにギターをやっていた時の友人から


「7月に発表会をやる予定だから、よければ聴きに来ませんか?」


と連絡がきた。




その連絡をもらった時、


過去の想い出が頭を駆け巡り、


とても懐かしい気持ちが溢れてきた。







私はみんなと弾くアンサンブルが大好きだった。




レッスン後、みんなで予定を合わせて


たくさんたくさん練習をした。




みんなで楽譜から


ひとつひとつ音を拾い上げて


紡いでいき、流れを創る……。




私はこの一連の作業が大好きだった。





ひとつの曲をみんなで創り上げる。


それを舞台で弾くあの瞬間が、


喜びが溢れ出す最高の瞬間だった。







たったひとつの独りよがりの想いで、


私はその『世界』を自分の手で壊してしまった。





壊れた『世界』はもう元には戻らない。






そう思っていた。







でも、友人に連絡をもらって



まだ『世界』はすべて壊れていないんだ。そこにちゃんとあるんだ。




そう思えた。








もう一度、失くしたと思っていた『世界』に


足を踏み入れてみよう。





そして、


その『世界』に置いてきてしまった、


過去の私の『想い』を迎えに行こう。







そう思った。