大宮妄想小説、BLです。

ご理解のある方のみ、どうぞ。

苦手な方、不快に感じる方はご遠慮下さい。







第一話はこちら↓
















7.智
智side



「……でも、さ。」

「…………………………」

「話してたら…話してたで。」

「…………………………」

「きっと…
それはそれで、さ。」

「…………………………」

「ニノ…そのことが気になって
しょうがなかったんじゃないかな。」










台本、読む?








そう聞いた
あの日。



しばらくの間
考えて。

んん…いい、って。



それから一度も。

撮影のことは
一切尋ねて来なかった和。










「だから…二人とも。
映画の話、一切しなかったんでしょ?」

「……………………ん、」

「だってニノ、今回の映画の公開日すら
知らなかったんだよ?」

「…………………………」

「突然聞いてくるんだもん。
『翔ちゃん、公開日いつ?』…って。」

「…………………………」

「あんなにテレビでもネットでも
番宣しまくってるのにだよ?(笑)」

「…………………………」

「…智くんのことなら。
なんでも知ってるのに。」

「…………………………」

「だから…さ。
ニノはきっと…それでよかったんじゃない?」

「…………………………」

「俺は…そう、思うけどなぁ。」

「…………………………ん、」

「ってか…
それであっても観に行ったってことの方が
俺はびっくりだけどね(笑)」

「………………………………」

「そんなに不安なら…
観に行かないよ?普通。」

「………………………………」

「……愛されてんね、智くん。」










翔くんの。

優しい色が
混じった声に。



ひだまりみたいな。

和の笑顔を
思い出す。









うん。



ほんとに…俺。

和から
愛されてる。



どんなに
忙しくたって。

俺の仕事は
全部チェックしてくれるし。



なんなら…俺よりも。

俺が出た作品や
楽曲のこと覚えてるくらいで…///



この前だって。

和が聴いてた曲が
イマイチ思い出せなくて…///

覚えてないのぉ?…って
からかわれた///



"これ…いつの曲だっけ?"

"ほら…5年前のぉ…"

"……………………5年前?"

"5年前に出したでしょ?
あのアルバムの…"

"……………………あぁ///"

"…………うっそ(笑)
まじで分かんなかったの?(笑)"

"や…ちょっと忘れただけだって///"

"じゃあこれは?"

"…………………………え、なにこれ。"

"ちょっと(笑)"



思い出せない俺を笑って。

それからはそのまま…
何曲も///



楽しそうに。

自分のことのように
自慢気に。

昔の俺の曲を
引っ張りだしては。

これはね…って
熱く語ってた和。



"お前…すげぇな。"

"……でしょ?(笑)"

"なに?全部覚えてんの?“

"そりゃそうでしょ(笑)"




あなたのことは
全部覚えてんのよ…って。

誇らしげに。
そう言ってくれてた和は。



いつだって。

俺の一番近くで
一番応援してくれる。

一番の…
味方でいてくれる。

俺の…大切な人。











「………………和。
ちゃんと晩メシ…食ったかな。」

「……なんか買ってく?寄ろっか?」

「んん……帰ってから俺作る。」

「この時間から作るの大変じゃない?」

「でも…和に早く、会いてーから。」

「………………兄さんってさ///」

「………………へ?」

「照れ臭いようなことも…普通に言うよね///
聞いてる俺の方が照れるんだけど///」

「照れ臭い、って…なんが?」

「ううん、いい、なにもない///
あー///帰り強めの酒買ってこ///」









なぜか
顔を真っ赤にさせた。

バックミラー越しに見える
翔くん。



俺…なんか変なこと言ったかな、
なんて考えながら。

無性に、また。

和に会いたい
想いが募る。


















仕方がない、って。

和も。
きっと。

分かってる。



仕事でしょ?



そう言って。

いつまでも覚悟を決められなかった
俺の背中を。

押してくれたのは
和だったから。



だからこそ。
きっと。

鳴らしても鳴らしても
出ることがなくて。



きっと。
闘ってんだ…って。

泣き顔だった
和に。

想いを馳せる。












やらなきゃよかった。




そう思ったら
きっと。

和が悲しむ。













”っていうかさ。俺が平気かどうかなんて。
そんなのあなた次第じゃない?”



”そんなの気になんないくらい。
大事にしてくれるんじゃないの?”
















 
きっと。

俺が和に。

返してやんなきゃ
なんないのは。



後悔すんのでも。

罪悪感に
胸を傷ませんのでもなくて。




俺が
想ってんのは。

和だけだよ…って。




泣いてる和に。

これでもかってくらい
伝えること、だ。













「……智くん。
もうそろそろ着くよ。」

「ん…あんがと。」









”いま帰るから。”

”待ってて。”










きっと。

既読にならない
和に向けて。



とびっきりの想いを込めて。

LINEを送った。













次回は明日AM6:17です♪