大宮妄想小説、BLです。

ご理解のある方のみ、どうぞ。

苦手な方、不快に感じる方はご遠慮下さい。

 

 

今作はこちらのサイドストーリー的なものになってます↓

未読の方は、こちらからどうぞ♡

 

 

 

一つ前でアンケートやってます♡↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

智side



忍び足で
和が眠る寝室に戻る。



最近は新曲の宣伝で
ずっと忙しかったせいか。

一向に起きる気配がない
和の隣りにもう一度潜り込む。



スースー寝息を立てて
無防備に、俺の隣りで眠る和。




テレビで活躍している
凛とした歌声で、伸び伸び歌い上げる時の和より
どこか幼く見えるその寝顔に。

俺だけが知ってる
優越感とか。

かわいくてたまんない
愛おしさとか。

いろんな気持ちが
こみ上げてきて。



起こさないよう。

静かにそ…っと
和の額に、軽くキスをする。



……ほんとは。

もうすっかり目も覚めてるし
朝食とか、先に起きて
和のために作ってやりたいけど。

でも、それで一度
和に不安な思いをさせてるから。

それからは、和が目を覚ますまで
隣りにいるようにしてる。









”………………さと、っ……!!!”





それは、和とよりを戻してから
しばらく経った頃。

和がしっかり力をつけて
仕事に挑めるように朝食作ろ…って思って。

こっそりベッドから抜け出して
洗面所で、洗面を終えた直後のことだった。



顔を拭いて
洗面所から出ようとした時。

バタバタ…と
急ぐような足音が聞こえてきて。



今にも泣き出しそうな顔で
洗面所に顔を出した和が。

俺の顔を見た瞬間
突然、ぎゅ…っとしがみついてきた。



”ちょ………どした?”

”…………………”

”…………………和?”

”………………いた、”

”…………………”

”…さと…ちゃんと………いた、っ……”

”…………………”

”また…いなく…な、…っ……俺……”



時折。
声を詰まらせながら。

普段の何倍もの強い力で
俺のこと、抱き締めてた和。



震えてる声に。

シャツの背中に
ぐしゃ…っとしがみつく
その手に。





そん時、初めて。



あの日の夜。

どんだけ和のこと
傷つけてかを知った。





”……………ごめん、”

”…………っ…………”

”ごめん……和、”

”………ヒッ……ク…………”

”もう…いなくなんねーから。”





華奢な背中を
ポンポン叩いて。

震える身体を
優しく抱き締め返しながら。



もう、これからは絶対。

和のこと。
こんな風に泣かせね…って。

あの日の朝。
そう、心に誓った。





「…………ごめん、な。」





お揃いの指輪を買って。
二人の永遠を誓ってから。

和もだいぶ
あの時の傷が癒えてきたのか。

あんな風に不安になることは
なくなったみたいだった。



でも…
もう不安にさせたくなくて。

寂しい思い
させたくなくて。

あれから、なるべく
眠ってる和の側から離れないようにしてて。



和がいい夢見れるように。

あどけない寝顔を
眺めながら。

和が目を覚ますのを
のんびり、待つようにしてる。





「………ん…………」





ふ、と。
微かに声を漏らして。

わずかに身じろいだ和に
起きるかな…と様子を伺ったら。

ただ体勢を
変えたかっただけみたいで。



そのまま
そこが自分の定位置みたいに。

俺の方に
ぐ…っと身体を寄せて。

ぴたりとくっついてから
もう一度、スヤスヤ眠り始める。





「……………気持ちよさそ(笑)」





腕を回して。

和の身体を
腕の中に包み込んだら。



さとし…って
無意識に呼ばれる自分の名前に。

思わず
ふにゃ…と顔が緩む。





「……夢ん中まで俺いんのか(笑)」





こんなに幸せな朝が
もっかいやって来るなんて。

あの日の夜は。
全然、考えられなかった。





あの日の夜。

いつまでも離れられないまま
白み始めた空に。



もう行かねーと…って。

一人、眠ったままの和を置き去りにして
ベッドから抜け出した俺に。



さとし…って。



夢の中で、名前を呼んでくれた
和の声を聞いた時は。





こんな風に。

もう一度、和のことを
抱き締められる日が来るなんて。



全然。
 

想像することさえ

できなかった。