大宮妄想小説、BLです。

ご理解のある方のみ、どうぞ。

苦手な方、不快に感じる方はご遠慮下さい。

 

 

 

★昨日コメントを下さった方で

返信が上手くいっておらず、承認のみになっていて

だいぶ後になって返信させて頂いた方いらっしゃいます💦

 

「あれ、私のだけ返信ない…」と不安にさせてしまったかも…

大変失礼致しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

和也side



「…………ノ…………ニノ……ニノ、」

「…………………ん、」

「ここ…着いたよ。」



相葉さんの声に
促されて。

ゆっくり…目を覚ます。



開いた瞼に。

車の運転席から振り返り
後部座席に座る俺の様子を伺う相葉さんと。

フロントガラスの向こうに広がる
セメントで囲まれた、無機質な地下駐車所の
殺風景な景色が映って。



ようやく

自分がいま。


どこに来たのかを思い出す。



「ごめん…寝てた。」

「疲れてるんだよ、今日色々あったし。

何か…飲み物とかいる?買ってこよっか?」

「んん…大丈夫、ありがと。」



んーっと…
何階に行くんだったっけ、って。

相葉さんがスマホを取り出して
画面をスクロールしている合間に。

ぐい…っと乱雑に
手のひらで頬を拭って。

つ…っと頬に流れていた
一筋の涙を、なかったことにする。





夢を見てた。



あの人と過ごした
最後の日。

最後の夜。

ベッドの上で 肌 を重ねた
あの時の時間。



もう…何万回
夢に見たか分からない。

きっと
永遠に忘れることのない。

あの人から。
確かに愛されてた一時。



俺の顔の横に手をついて。

ハァ…と、時折
熱の籠った息を吐き出しながら。

玉の汗を滴らせて。
揺 らされて。揺 さぶられて。

全身で。
愛を伝え合った。



身体をよじって
何度も身 悶 えたせいで。

すっかり乱れた俺の髪を
その、細く長い指で梳かして。

綺麗…って。
何度も呟いてくれた。



そんな貴方に手を伸ばして。

貴方も綺麗…って。
もっと愛して…って。



好きよ…って。



貴方の胸に
顔を埋もれさせて。

ただ一言。
そう、伝えたかったのに。



手を伸ばした瞬間。

ぐにゃり、と
貴方の姿が歪んで。



ベッドに寝転んだ
俺を一人、残したまま。

貴方の姿が、一瞬で
目の前からいなくなってしまう。



なんだって叶えてくれる
夢の世界でさえ。

好き…って
言わせてくれない。

貴方の夢。



何度も。
何度も夢に見ては。

ハッっと
目が覚めて。

貴方の姿を探して。



やっぱり
どこにもいない現実に。

飽きることなく
涙を流すこの毎日も。

もう…3年も経てば
すっかり慣れてしまった。



「あ…なんか。」

「…………え?」

「もう来ちゃってもいいよ…って。
潤くんから返事が来たんだけど。」


「…………ん、じゃ行こ。」



車から降りて。
んん、っと大きく伸びをして。

こっち、って
先を案内してくれる相葉さんに
後ろからついていく。



凍てつくような寒さの
地下の駐車場を歩きながら。

身体を縮こませて
ハァ…っと息を吐き出せば。

寒さで白くなった息が。
行き場もなく、ただ虚しく…宙を彷徨って。



まるで…
あの頃の俺みたい、なんて。

ぼんやり
智と別れたばかりの頃の自分を、思い出す。



智…って。

貴方のいない
一人ぼっちになった部屋で。

大好きな智のニオイがついた
愛し合った後のベッドに残る布団を抱きしめて。

行き場のない想いを抱えて
声を上げて泣き続けた、あの頃の自分。



何度、呼んだって
戻ってなんかきてくれないのに。

呼んだら
来てくれるんじゃないか…って。

バカみたいな願望に縋って。
何度も何度も、声が枯れるまで呼び続けた。

三年前の自分。



「…三年、か。」



あの日から
三年経ったってことは。

貴方と出会ってから
三年半経った…ってことで。



「……覚えてる、かな。」



出会った時のこと。
想いが結ばれたあの日のこと。

そして。
最後に愛し合った、あの日の夜。



一日だって
忘れたことなんてない。

たった半年の。
貴方とのラブストーリー。



貴方は
覚えてくれてんのかな。



「部屋…
間違えないようにしなきゃ。」


「間違えたら笑えないからね。」

「分かってるって!」



すぐ開いたエレベーターに
相葉さんと二人、乗り込んで。

1階のボタンを押してから
間もなく、俺達を乗せたエレベーターが動き出す。



下に押し下げるような
エレベーター独特の重力を感じながら。

また、一人。

貴方と出会った時の思い出に
想いを馳せてみた。