最近、よく、
JALの『Happiness』CMを観る。

ちょっと前まで、こちらでは
全く観かけなかったんですが
(関西は最近なのかな?)流れ始めると、
結構いろんなとこで観るんですよね~

歌が聴こえると
思わず見入っちゃう(笑)

いくつになっても、可愛らしさの残る嵐。
あれって何でかな……
みんな年を重ねる事で
性格も表情も柔らかくなっているのかなぁ~
流れる度に癒されてる……♡

ただでさえ、そうなのに。 
彼らの挨拶の全文を読んでから
このCMを観ていると、
幸せで泣きそうになる自分(笑)

彼らの優しく柔らかい表情は
本当に凄い……
一瞬にして、こんなにも
ファンを幸せに出来るんだもん……







~或る日のニノの場合~


どうだろなぁ。
アプローチ的なものは全く違うけれど、
スタンスは、1番似ている気がしていた。

兎に角、頭のキレは、抜群に優れている。
その場の対応力は、俺よりも、ひょっとしたらかなり高いんじゃないかと思う。
いや、別に。
自分が優れているとか
言ってる訳じゃないけどさ(笑)

俺の方が、発言する機会は多いけど、受けた質問に対する答えは、ニノの中にも勿論あって……
俺が、言葉を探している間にスルッとフォローするように意見を出してくる事も多い。

そして。
その言葉のチョイスは、鮮烈だ。

色んなものを度外視した表現を目の当たりにする時、その頭の中には、何通りの答えが用意されていて、敢えてその表現を使ったんだろうと、時々、怖くなる。

いや、ほんと。
ニノが嵐で──仲間で良かったと思う。

興味のないものに、なんと思われようと気にしていないんだよな……恐らく。

自分の好きなものさえ守れれば、それだけでいいと思っている──
ある意味、それは純愛で……
とてつもなく、強い。


幼い子供が、無意識に愛情の深さを量るかのように、時々、相手を困らせる行動をとる……
ニノには、それが顕著に見られる気がしてる。

ま、それは──
対、智くんと相葉くんに限ったものだけど……

何だろうね(笑)
俺にもよく分からない……


そして。
今も、目の前で。
智くんに対して、あからさま…というか露骨な愛情表現をしているニノ。
いや。
少なくとも、俺の目にはそう見えている。

それは。
俺には、決して見せない部分。

そう。
Jrの頃から、何かとつるんで、色んな話をしていた……と、思っていた俺には、ニノは、決してこんな態度はとらない……


智くんの横に座って、意味もなく、その太股の辺りをパンチしてる……(笑)
最初、されるがままになってた智くんは、間に手の平を差し入れて、ワンクッション置こうとしている……

そして。
それが気に入らないのか、今度は二の腕をパンチし始めて……何だか、追いかけっこのように体中いろんな所を移動する……その間、無言(笑)

この2人の無言の攻防に、段々、自分でおかしくなってきたのか、智くんが、ふっと笑う。

「痛いって、止めろよ」
「あれ?痛かったんですか?」
「痛いに決まってるだろ~」
「全然、何も言わないから」
「……言ったら、止めてくれんの?なぁ」
智くんが、両手の平でニノのほっぺを挟むと力を入れる。
「ふふっ。何なんですか…止めますよ。言われりゃ、ね」
と、言って、椅子から立ち上がり逃げる──のを、ちょっと手を伸ばして追いかけようとして、また、逃げられる。
智くんは、逃げられても、ちょっと笑った柔らかい表情のまま、再び椅子に座り直した。


ニノが智くんの少し前のソロ曲を口ずさみながらこちらへやって来て、何事もなかったように、今度は俺の横に座る。

そして。
スウェットのポケットから携帯を取り出して、
ゲームを始める。

暫くして、不意にぼそっと呟くような声。

「……アレ結局どうなったの?」

どうやら、俺に聞いている、のか?
──アレって、アレか……

「ま、一応、見てるけどね」
「決めないの?」
「うーん……やっぱ。こんだけのものなら、一緒に見に行くか、選んでもらう方が、よくね?」
「サプライズじゃなくするってこと?」
ニノは、その間も画面から目を離すことなく
話を進めていく。
「そこに、重きを置かなくてもいいんじゃないかなってね…」
「何が、重要なのか…って事ですか?」
と、ニノが、ちらっと智くんを見る。
当の智くんも、携帯を弄っていてこちらを気にしている様子は全く感じない。
「ま、そだね」
「受け取ると思う?」
「……そうなんだよな」
「ちょーだいって言うくせに、あの人、案外、高額なもの受け取るの嫌がるよ」
「……だよな」
「あの人、優しいから。気にするよ、きっと」
ニノの口から出た意外に素直な言葉に
ほんの少しだけ驚く。
「……そ、だね」



若い頃。
ニノにあって、俺にないものって何だろう……

ずっと、気になっていた。

例え、同じことをしても、
許されるニノと、制される俺。

その違いは、何か──と。
20代半ばくらいまで、
俺の中でずっと燻っていた思い。

心の何処かで。
歳の近い俺の方が、ずっと近い存在なんだと……
側にいて、安心出来る存在なんだと……
自負していた。

それなのに、だ。
何だろうな……

何を切っ掛けに、そんな風に思うようになったのかは、自分でも分からない。

ただ、少し、寂しい…と、思っただけの事。

まるで。
親や兄弟を取り上げられたような……

心に小さな穴が空いたような……

何とかする術はないのかと……
妙な焦燥感。


そして。
同じようにしても意味がないのなら、
俺は──
このモヤモヤした思いを吹っ切ろうと……


「なぁ」
と、隣に声をかける。
「……何?」
相変わらず、手は止めないし、こちらも見ない。
「ごめんな……」
「……何よ、急に」
「何となく…」
「ふっ。何なんすか(笑)」
「自分でも、よく分からない」
「翔ちゃんにしては、珍しいね」
「……そうかもね」
「変なの(笑)」
「そだな(笑)」


いつの間にか──
ニノは、
ゲーム画面を見詰めたまま、指を止めていた。

「……ありがと、翔ちゃん」
「(笑)何?どした?」
「いつも、1番にあの人に寄り添ってくれて……
俺は、最初、自分の事しか考えられなかった。
それが、1番大事な事だと思ってた。
でも──あの人に必要なのは、違った」

ニノは、真っ黒になった画面を見ながら、少し笑った。

「あの人に、何が1番大事なのかを、当たり前に最優先出来る翔ちゃんは凄いよ……尊敬してる」

オレが驚いてニノを見ていると、
今日、初めて目が合った。

思っていた以上に、優しい目だった──


そして。
「要相談なんですが……
安くして下さいね。
どう考えたって、俺が1番乗らないよ?」
と、ニヤリと笑う。

いつの間にかキャラ化してしまった、変わらない、そのスタンス。
「……ふっ。そうだな。考えとくよ」


そうは言いながらも、
ちゃんと等分した分払うつもりだろうニノが、
再びゲームを始めたのを横目に、
俺は斜め前に座って、顔を突っ伏してうとうとし始めてる智くんを、ぼんやりと見た。



「リーダー。
寝るなら、ソファーに行きなよ。首痛めるよ」
いつの間にか、部屋に戻って来ていた松潤が、優しい顔で智くんの髪に触れた。