21日夜現在での状況を、まとめます。
帰国するための飛行機に乗るため、あと30分でホテルを出る必要があります。十分書ききれなかったら、帰国後書き足します。ごめんなさい。
公開されるようになって正確性を問われています。文章が前回より固くなってしまいそうです。お許しを。
1、福島第一原発の現状を理解する上で、1~6号機の問題を3つに分けて整理するとわかりやすいと思います。(私もさっき頭が整理されたばかりです)
A 「原子炉内で起きている」問題と対応
1、2、3号機は、地震時稼働していて、緊急停止しました。「副産物」の発する「余熱」を冷却する努力がなされています。概ね冷却はうまくいきつつあります(詳しくは後で)。
B「使用済み燃料プール」内の温度上昇の問題と対応
「原子炉圧力容器」「最後の壁である格納容器」の外にある「使用済み燃料プール」の水位が下がって温度上昇が起きているのが、3、4号機です。
原子炉内の燃料の「余熱」より、遥かに低いですが、「余熱」はあります。水にさえ浸っていれば安全です。一方、万が一高温になり溶融が始まると、「格納容器の外」にあるので、外界への放射性物質の散逸が深刻になります。
この問題で4号機の火災もありました。
特に3号機はMOX燃料がプールで保管されています。(MOX燃料:使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランを酸化物の形で混合させて作る)ちんぷんかんぷん、だと思いますが3号機の使用済み燃料は、他とは違うということは理解してください。
MOX燃料は万が一溶融して外界に露出した場合より深刻な事態を招くとされています。(詳しくは後で説明します)
3、4号機ともに懸命な放水作業で、現在小康状態といってよいかと思います。
C 地震時「停止」していて、津波後も、比較的安定している5、6号機。
緊急発電装置も一部稼働し、冷却装置(ポンプ)も一部稼働している5、6号機は、津波後若干の温度上昇がありましたが、現在「安定」しています。昨日、今日で、緊急発電装置、冷却装置ともにさらに回復し、表面温度はわずか25度程度です。東京電力は「冷温停止」した、と発表しています。5、6号機は、「大丈夫」と思っていいでしょう。
この3つの状態で分類したときに、3号機だけAとBの問題を両方抱えています。現在3号機に特に集中して放水されているのは、このためです。
Aも深刻ですが、Bも深刻です。(Bの最悪の事態については別途書こうと思います)
でも、ひとまず安心しましょう。全体として、かなり「改善」しています。20日にヘリで表面温度を測定した結果、1号機が58度、2号機が35度、3号機が62度、4号機が42度、5号機が24度、6号機が25度で、いずれも100度未満でした。本当に、本当に、よくここまで回復したものです。自衛隊、警察、消防、東京電力、原発関係会社の皆様の努力に感謝しましょう。
一部週刊誌や新聞でエキセントリックな見出しがありますが、飽きれてしまいます。状況は明らかに日増しに良くなっているのです。冷静で中立的な「報道」はNHKのWEBをお勧めします。
http://www3.nhk.or.jp/news/genpatsu-fukushima/index.html
「放水冷却」と「電源確保」
前回の長文でもお話したように、緊急対応としては、とにかく「放水冷却」が必要です。ここ数日で、特殊放水車が自衛隊と消防庁から続々と到着し、活動しています。大阪市消防局も派遣されました。横浜市、川崎市も、派遣を検討中です。米国が無人放水車を届ける予定もあります。そして、これらの努力は確実に実っています。
「放水冷却」活動を一時停止しながら、「電源確保」作業も多いに進捗しています。5、6号機は緊急発電装置が稼働し、安定しています。
そして最大の希望である「東北電力からの配線による外部電力確保」が急速に整いつつあります。
既に1、2号機の配電盤まで繋がれています。ポンプ(緊急冷却装置)がうまく作動するかを検証中です。5、6号機も配電盤まで繋がれています。5、6号機は緊急発電装置から外部電力に切り替えが行われるでしょう。そうなると5、6号機は万全です。
3、4号機は爆発のがれきが周辺にあり、配線作業が難航していましたが、自衛隊の74式戦車2両が派遣されました。この戦車でがれきをどけることで、配線作業が明日中になされる期待があります。
現状は大きく改善しています。
放射能汚染の程度も現時点で健康に問題ありません。
「希望」は懸命な「努力」により大きくなってきました。
がんばりましょう!
次回の記事では、それでも万が一の事態がおきたらについて詳しく書くつもりです。フライトの時間になってしまいました。日本でお会いしましょう。
Tweet
はてなブックマークに追加