東京商工リサーチ記事によると、下記通りで前年より不適切会計減ったが、依然として開示企業数は60社台と高水準で推移しており、要因の最多は処理誤りが多い、当事者別で会社以外に子会社関係会社、従業員不正も相変わらず多く、また監査法人交代で不適切会計を見逃すケースもあると分析されている。
(記事主要部分)
2024年に「不適切な会計・経理」を開示した上場企業は、60社(前年同数)、件数は60件(前年比3.2%減)で、件数は3年ぶりに前年を下回った。
2024年に不適切会計を開示した60件の内訳は、最多は経理や会計処理ミスなどの「誤り」の33件(前年比2.9%減)。次いで、従業員などによる着服横領が19件(前年同数)、子会社で不適切会計処理などの「粉飾」が8件(前年比11.1%減)だった。
業種別の社数は、最多が製造業(同90.0%増)とサービス業(同26.6%増)で各19社、情報通信業が8社(同60.0%増)、小売業が5社(同44.4%減)、卸売業が4社(同55.5%減)、建設業(同66.6%減)と倉庫・運輸業(同100.0%増)が各2社と続く。
発生当事者別では、最多は「会社」の24社(構成比40.0%)だった。「会社」では会計処理手続きなどの誤りが目立った。次いで、「子会社・関係会社」は16社(同26.6%)で、売上原価の過少計上や架空取引など、見せかけの売上増や利益捻出のための不正経理が目立った。
「従業員」は15社(同25.0%)
市場別では、「東証スタンダード」が26社(構成比43.3%)で最も多かった。次いで、「東証プライム」が23社(同38.3%)、「東証グロース」が9社(同15.0%)と続く。
2024年は「東証スタンダード」が新市場移行後、初めて最多となった。
不適切会計を防ぐため上場会社と監査法人との関係がより重要になるが、監査報酬の見直しや監査法人の人手不足から監査法人が交代するケースもある。監査法人の交代で不適切会計を見逃すケースも懸念されるだけに、監査法人の監査機能をいかに高められるかが注目される。