下記日本経済新聞記事によると、2023年3月期の監査報酬は1社平均で約9300万円と過去10年で初め減り、
日本企業の平均監査報酬は21年度で米国企業の4分の1だが、1社にかかる監査時間は4163時間と10年で約2割増加しており、
若手会計士は労働時間が昔より増加しているが給与はあまり変わらず、コンサルテイング等他に比べてあまりよくないため監査法人をやめていく、
一方、会社は監査報酬をコストと考えて監査報酬をあげてくれない、そのため、会社は監査報酬引き下げるため大手から中小並行していくという傾向が続いている。
(記事主要部分)
企業の決算書のチェックという資本市場のインフラを担う監査制度が揺らいでいる。会計不正などを背景に業務が重くなっているのに企業が監査法人に払う報酬は減少に転じた。待遇への不満から一般企業へ移る会計士も多い。
日本経済新聞が上場する約2000社を調べたところ、2023年3月期の監査報酬は1社平均で約9300万円と過去10年で初めて減った。海外と比べても格差が鮮明だ。青山学院大学大学院の町田祥弘教授らの調査によれば、日本企業の平均監査報酬は21年度で米国企業の4分の1だ。
半面、会計士の業務負担は年々重くなっている。1社にかかる監査時間は4163時間と10年で約2割増えた。繁忙期には深夜残業や休日返上で働くことも少なくない。相次ぐ会計不正で監査の徹底を求められているほか、新会計ルールへの対応などが背景にある。
激務に嫌気が差し、若手会計士は監査法人を次々と去っていく。監査法人で働く公認会計士の比率は23年3月に40.6%と10年で11ポイント下がった。
監査報酬が上がらないのはなぜか。根底には監査を受ける企業側の意識がある。ある監査法人がメーカーに報酬引き上げを要請したところ、交渉の場に資材などの購買担当者が現れた。「我々はコストなのだと再認識した。第三者による保証料ととらえる米企業と違う」(大手パートナー)
監査報酬を抑えようと、大手監査法人よりも安い中小法人にシフトする企業も増えている。公認会計士・監査審査会によると、23年度は110社が大手監査法人から準大手・中小法人に切り替えた。交代理由として監査報酬で折り合わなかったことを挙げる企業が多い。