いつもの如く、本日金曜日も残業である。
しかも、土曜日も出勤命令が出た。
我がペースメーカーである釣りに行かれない。
ペースメーカーは、心臓病の治療機器である。
即ち、生命線に等しい。
週末、釣りができないということは、私にとっては、死活問題である。
では、日曜日に行けばよいではないか・・・・・
というご意見もあるだろう。
しかし、日曜日は、土曜日以上にポイントが釣り人で渋滞して、釣りどころではない。
それゆえ、絶対、土曜日の午前中は外したくないのである。
が、運命の神からは、ことごとく見放されていた。
以上が
大人の言い訳
である。
さて、残業を終えて帰宅したある日のこと。
世紀末覇者ラオウ(嫁さん)が、夕飯を作って待っていた。
「疲れているのであろう。まぁ、うどんでも食べるがよい。」
「はい。わかりました。」
と、二つ返事でうどんをすすり始めた。
「だぁだぁ。」
同時に、殺気を感じる私。
魔神カイオウ(娘)のお出ましである。
甘いマスクで、私に近づく魔神カイオウ(娘)。
狙いは、今食べているうどんに他ならない。
子煩悩な私は、
「あーーーーん。パクッ」
と、餌付けを開始。魔神カイオウ(娘)は、嬉しそうにうどんを食べると、手を差し出してきた。
出た!
お代わりの要求である。
子煩悩な私は、
「あーーーーん。パクッ」
と、追加の餌付け。魔神カイオウ(娘)は、嬉しそうにうどんを食べると、再び手を差し出してきた。
そのとき、
「貴様!なにをしておる!魔神カイオウ(娘)は既にうどんを3分の2玉完食済みじゃ!それ以上食べさせることは許さん!」
私は、その声に恐怖を覚えた。
私は、なけなしの勇気を出して、世紀末覇者ラオウ(嫁さん)に言った。
「じゃぁ、どうすればいいんじゃ!誰に似たんか知らんけど、この旺盛な食欲は止められんぞ!」
世紀末覇者ラオウ(嫁さん)の反撃。
「おのれに似たんじゃ!魔神カイオウ(娘)のぽっこりお腹を見ろ!
メタボの貴様と同じではないか!
それに1歳児をメタボにするわけにはいかんのだ!
そういうわけで、貴様が対処しろ!」
「なんじゃそりゃ!嫌な宿題を振りやがって!」
と、口に出せない私がそこにいた。このセリフは私の心の中の叫びで終わった。
そして、世紀末覇者ラオウ(嫁さん)に進言した。
「同じどんぶりで、空っぽのやつを用意し、隙をみてすり替えるのはいかがかと!」
「いい考えだ!早速すり替えぃ!」
空っぽのどんぶりとすり替えて、魔神カイオウ(娘)にみせると、一瞬にして魔神カイオウ(娘)の目が点になった。
直後、
「うぁぁーーーーん!」
と、イクラちゃんを超える大泣きを開始。
しかも、床に何度も額を叩きつけながら、心底悔しがっていた。
号泣
とは、まさにこの状態を言うのだろう。
世紀末覇者ラオウ(嫁さん)は、
「ちょっとひどい仕打ちでないかぃ?」
と、私に言ってきたが、
「『やれ』言うたんは、お主でないか?」
「それに、他にいい手があったのか?」
と、私は反論した。そして
「とにかく、忍の一字で、『泣いたなら、止むまで待とうほととぎす』を貫くしかない」と世紀末覇者ラオウ(嫁さん)に言った。
世紀末覇者ラオウ(嫁さん)の納得するしかなかったようだ。
しかしながら、泣きじゃくり続ける魔神カイオウ(娘)を見るのはつらいもので、私の心は血の涙を流しながら、まさしく
号泣
していた。