沖縄タイムスが1日付のオピニオン欄に掲載した辺野古沖事故に関する読者投稿の一部を削除し、3日付で「おわび」を掲載していたことが分かりました(写真は削除されて空白となった部分)。
同社は「投稿の内容は極めて不適切だった」(4日付朝日新聞デジタル)としていますが、果たしてそうでしょうか。
一部が削除された投稿は、豊見城市・57歳会社員によるもの。全文を転記します。末尾の太字部分が削除された個所です。
< 辺野古事故デマは許されず
国家の専横ぶりを象徴する新基地建設が進む名護市辺野古の海で起きた悲しい事故。現地で平和を学ぶために京都から来県した高校生と、平和学習に尽力してきた船長。今回の事故で亡くなられた二人に謹んで哀悼の意を表し、心からのご冥福をお祈り申し上げる。
事故原因の究明と徹底した再発防止策を講じることは喫緊である。だが交流サイト(SNS)などを通じて、事故の責任を抗議運動の主体者や、平和学習を主催した学校側に向ける心ない思い込みやデマの拡散は決して許されない。
まず、事故を生起させたそもそもの「元凶」を見誤らないことだ。沖縄の民意を踏みにじり、その美しい自然を破壊し、無用な軍事基地を問答無用で押し付ける日米の国家権力側に屈してはならない。
天国から二人の声が聞こえてくる。「誹謗中傷にめげず、抗議行動を続けてほしい」と。>
沖縄タイムスが3日付のオピニオン欄に掲載した「おわび」の全文は次の通りです。
<1日付5面の読者投稿「辺野古事故デマは許されず」で、末尾の「天国から二人の声が聞こえてくる。『誹謗中傷にめげず、抗議行動を続けてほしい』と」を投稿者の同意を得て削除します。亡くなった方々の意思を断定する不適切な表現になっており、本紙の編集過程の確認作業が不十分でした。おわびします。>
これを報じた朝日新聞デジタルの記事で、沖縄タイムス社は次のようにコメントしています。
「投稿の内容は極めて不適切だった。責任は投稿者でなく、全面的に沖縄タイムス社にあります。弊社が採用の可否を責任をもって判断し、掲載する場合は校正・校閲しなければなりません。今回の経緯を検証し、万全の再発防止策を検討します」(4日付朝日新聞デジタル)
以上の経過には、多くの重大な問題があります。
第1に、削除された部分はけっして「極めて不適切」な内容ではありません。「天国から聞こえてくる」というのは投稿者の主観の文学的表現であり、「亡くなった方の意思を断定する」ものなどでないことは誰でもわかることです。投稿を締めくくる重要な要素であり、それを削除したことの方が極めて不適切です。
第2に、朝日新聞が報じた沖縄タイムス社のコメントは、「投稿の内容は極めて不適切」と投稿全体を「不適切」としています。投稿は削除された部分も含め、たいへん重要で優れたものです。それを否定することは、投稿者をかばっているように見せながら、実は投稿者を甚だしく冒とくするものと言わねばなりません。
第3に、今回の削除は外部からの意見・批判によるものと推測されます。そうだとすれば、沖縄タイムスはその圧力に屈したことになります。
第4に、沖縄タイムス社は今回のことを投稿(オピニオン欄)全体に敷衍させ、「掲載する場合は校正・校閲しなければなりません」とし、それを強化する意図を示しています。しかし、読者投稿の「校閲」は、文字や事実関係の誤りの「校正」は別として、内容の「検閲」になりかねません。今回の削除はその部類です。新聞社による「校閲」という名の「検閲」が許されないことは言うまでもありません。
第5に、辺野古沖の転覆事故を巡っては、自民党や日本維新、参政党などが新基地反対運動や平和学習・教育攻撃の口実にし、政府・文科省も干渉の動きを強めています。不幸な事故を利用したこうした攻撃は絶対に許すことができません。
今回の投稿削除もそうした動向と無関係ではないと思われます。
辺野古沖事故を機に、新基地反対のたたかい、沖縄の平和・民主運動、平和学習・教育、そしてメディアは重大な局面を迎えています。
