世界文化遺産「佐渡島(さど)の金山」の追悼式が12日、佐渡市内で行われました。韓国代表は参加しませんでした。3年連続です。

 

 なぜ韓国側は参加しなかったのか。その理由を私たち日本人は知る必要があります。しかし、日本メディアの報道はその真相を伝えるものになっていません。

 

<韓国政府は追悼辞の内容で折り合わず、3年連続の欠席となった。…佐渡金山には戦時中、朝鮮人徴用工が動員されたことから、韓国政府は強制労働の現場だとして世界遺産登録に否定的だった。日本政府は朝鮮人労働者に関する展示と追悼式開催を表明して同意を取り付けた。>(13日付京都新聞=共同)

 

<「追悼の辞」をめぐって日韓の隔たりは埋まらず、韓国側は初開催から3年連続で参加しなかった。…2024年の世界遺産登録にあたり…日韓は朝鮮半島出身者を含む全ての労働者の追悼式を毎年開くことや、現地に朝鮮半島出身労働者の過酷な労働を示す展示を設けることで合意した経緯がある。>(12日付朝日新聞デジタル)

 

 こうした記事を読むと、韓国側が世界遺産登録時の「合意」に従わず追悼式をボイコットしたかのような印象を受けます。事実はまったく逆です。

 

<日本政府は2024年に新潟県の佐渡鉱山を世界遺産に登録する条件の一つとして、日帝強占期の朝鮮人の強制動員を含む「佐渡鉱山の全体の歴史」を伝えること、当時の犠牲者のために毎年追悼式を開催することを約束。しかし、2024年の最初の追悼式から、日本政府の追悼の辞には「朝鮮人強制労働」に関する内容が含まれていなかった。韓国政府がこれに反発して出席しなかったのは3年連続。>(14日付ハンギョレ新聞日本語電子版)

 

 これは韓国側の一方的な主張・報道ではありません。今年7月23日、韓国・釜山で開かれたユネスコ世界遺産委員会が、日本政府が登録時に「約束」した現地での解説や展示はきわめて不十分だとして日本政府に改善を求める決議を採択したのです(7月24日のブログ参照)。

 

 たしかに日本政府は「約束」に基づいて金山ふもとの相川郷土博物館2Fに朝鮮人労働者のコーナーを設けました。しかしその展示はきわめて簡素なもので、「強制動員・強制労働」の説明はまったくありません(写真右)。朝日新聞も「実物の展示は、労働者の使った木製の弁当箱がぽつんと置かれるのみだ」(14日付朝日新聞デジタル)とリポートしています。

 

 この世界遺産委員会の決議に対し、「日本は対応をまとめた報告書を27年12月までに提出する必要がある」(14日付朝日新聞デジタル)のです。

 

 日本は世界文化遺産登録を得る時は韓国の了承を得るため要求に応じる「約束」をしておきながら、登録がすむと委員会での「合意」を反故にし、追悼式で「強制動員・労働」には一言も触れない「追悼の辞」を読み上げ、約束不履行を既成事実化しようとしているのです(写真左は「追悼の辞」を読む日本政府代表)。韓国がそれを批判して参加しないのは当然です。どちらに非があるかは明らかです。

 

 この根底には帝国日本の侵略戦争・植民地支配の加害の歴史を頑として認めようとしない政府・自民党の歴史改ざんがあります。絶対に見過ごすことはできません。

 事実を正確に伝えず韓国側に問題があるかのような日本メディアの報道は、そうした政府・自民の歴史改ざんに手を貸すものと言わねばなりません。