来る日も来る日も夜は長く、眠りは浅い。夢をよく見て、朝を迎え、汗をかく。


大切な人を失ってから、初めてのお盆が来た。


僕は商品開発プレゼンに追われ、まったく実家に帰れなかった。


実家では、初盆で忙しく時間が過ぎたそうだ。毎年、婆ちゃんは提灯と言うのか、亡くなった方が道しるべとして帰ってこられるように、光を吊るしていた。


僕は、婆ちゃんが「勝さんが帰ってくるよ」って微笑んで語っていたのを今も思い出す。勝さん。じいちゃんである。


今年は二人で帰ってこられるのだろう。何とも不思議なものである。


婆ちゃんは亡くなった。


僕の夢に、お盆の期間、そして昨日も、婆ちゃんは姿を見せてくれた。


僕はうれしさより、起きたときの何ともいえない寂しさのほうが大きかった。


人が亡くなる。大切な人が。


僕は何度、この経験をしただろうか?


逢いたいのに逢えない人がいる。


どうしたら逢えるのだろう。子供じみたことを、起床時の数分間は真剣に考える。


商品プレゼンが明日ある。


婆ちゃんに食べさせてあげたかった商品が出来た。


温かく、優しい味の商品が出来た。


婆ちゃんと二人で食事を取るときに、よく出してくれたものである。


プレゼンで通る、通らないは今回は関係ない。仕込みや、提供時の工数の多さ。原価。ブランドイメージ。この商品はそれらの軸で判断される。


僕の行為はプロらしくないといえばそうなのだと思う。


しかし、僕はこれでいいと想う。これがいいのだと想う。


感動商品を作る為には、自分が感動した商品を自分なりに消化して、アレンジして、開発するのが一番である。


婆ちゃんの初盆に、実家に帰れなかったのなら。僕は、こんな形で婆ちゃんに自分の存在を示そうと想う。


逢いたい人がいる。永久に逢えない人がいる。


それだけで僕は頑張れる。


それだけで僕は幸せである。