少し前のこと。


大分トリニータホーム最終戦で感動的な瞬間があった。涙が出てきた瞬間。


ゴールキーパー 岡中 勇人 の 引退セレモニーである。


「引退」


岡中さんにとって、人生の分岐点。大きな帰路である。プロとして華々しく生きてきた選手にとって、引退後のセカンドライフは深刻な問題である。


プロとして生きる人たちは、一般社会人よりとてもリスキーな人生であるかもしれない。

自分という商品の価値を上げ続け、チームとの契約を勝ち取らないといけない。


失業状態はざらで、怪我をすればお払い箱。プロの世界は非常なまでにシビアである。


岡中さんの引退には、正直納得することが出来た。年齢37歳。プロ生活の大往生である。

肉体的な衰えもあっただろうし、モチベーションが保てられなくなったのかもしれない。


しかし、何より今年大ブレークした「西川 周作」の存在があるだろう。


若手の台頭。


ベテラン選手が、自分の所属チームのことを一番に考えるのなら、若手の台頭はとても喜ばしき事態である。 しかし、もし自分のポジションを確保することだけを考え、保守的な考えをするのなら。若手の台頭を喜ばしくは思えないだろう。


岡中さんはもちろん前者である。チーム第一主義を貫き、自分の退路を示したのである。


自分に置き換えて考えてみた。


昨日の会議の席で。四回生の友人が隣に座っていた。今後のISE活動を考えていたとき、この二文字がふと出てきたのである。


「引退。」


僕もそろそろ引退の時期である。ISEを卒業し、新たな人生の目標を達成すべく努力をしなければいけない。


後輩たちと過ごす時間は、本当に楽しかったし、皆の考えは斬新で生き生きとしたものであった。


ISE第一主義を自分は貫きたいと思う。それなら、スムーズな世代交代が必要不可欠である。


素晴らしい後輩たちに送られて、自分がISEを卒業できるのなら。


自分にとって、最高の引退の美学である。