玉村方久斗(たまむらほくと) 「小豆島海景」

 玉村方久斗、晩年(昭和20年頃の作品です。
 額装で、扇面30号の、扇面にしては、一番
大きい作品です。

 方久斗ブルーといわれる鮮やかな、そして
白い波の対比が、大変、美しいと思います。

 これと、ほぼ同様の水墨で掻かれたのも、
所蔵していますが、水墨画は、独特の

雰囲気があり、この画とは、対象的です。
 ほぼ、同時期に描かれたと思います。
 
 独特の形の岩と、それに、ぶつかり
砕ける波涛が、大胆と繊細さが、相まって、


方久斗らしい表現となっていると思います。

 方久斗の作品は、遺されているものが
少なく、また、大作も少ない。

 大きくても、せいぜい、六曲屏風一双です。

「玉村方久斗」(たまむらほくと)
  戦前は(二十際代)、日本美術院に所属。
 賞等をとり、将来を嘱望視されました。

  歴史画に自分の主観を入れすぎ、一向に
 改めないため、横山大観らに嫌われます。
 
  それでも、自分を貫きたいため、
 美術院を脱会します。

  それからは、個展を中心に活動する
 ことになります。
 
 そして、他人とは、異なった表現や、
 モチーフで対象を描きます。
  そのため、異色の作家といわれました。

  また、美しい色彩を出そうと、いろいろな
 絵の具を試みました。

  大切に保管された画は、今、書き下ろした
 ような鮮やかさがあります。
  この画も、その一つです。

  平成 19年11月3日から
 平成20年2月17日迄、神奈川県立近代美術館
 および京都国立近代美術館で、「玉村方久斗」展

 が開催されました。
  そのことにより、ほとんど無名に近かった、

 方久斗の名も知れるようになりました。