玉村方久斗(たまむらほくと) 「反射炉」

 方久斗が、昭和20年頃、東京での個展に
発表した作品です。

 箱書きに、個展出品作とあること。
 それに、伊豆方面に旅行した、名所案内と

方久斗自筆で、昭和19年3月16日午後4時
拝観。
 同伴2名の名前を記述した書付が
添付されているからです。

 おそらく、この韮山反射を見て、感動した
のでしょう。

 その感動が薄れないうちに、筆をとった
のだと思います。
 私には、その気持ちがよく解ります。

 方久斗は、昭和26年病死しました。
 画家にとって、一番、油の乗った、まだ々、
これからという年齢です。

 私の所蔵する方久斗作品の中でも、好きな
作品の一つでもあります。

 一般的に、反射炉は画にはならないと
思いますが、そこへ、桜の満開と、樹を

デザイン的に配置、近代感覚豊にあふれて
います。

 そういうところが、方久斗の非凡な
ところです。

 そして、おそらく、方久斗も将来、世界文化
遺産になろうとは、思っていなかったこと
でしょう。

 方久斗の先見性と感覚に感心しています。
 今年は、ぜひ、私も韮山反射炉を訪れたい
とおもっています。
 

「韮山反射炉」
鉄鉱石や砂鉄を溶かして、優良な鉄を精製
する炉。

 静岡県伊豆の國市にあり、築造当時の形で
現存する反射炉です。

 平成27年7、明治日本の産業革命遺産
として、世界遺産に登録されました。

 江戸時代末、欧米諸国の植民地化や開国
妖精に対抗して、日本を守るため、時の

韮山代官、江川太郎左衛門が、幕府に
直言して築いた、大鵬鋳造所。