玉村方久斗 1「富嶽図」
 玉村方久斗(たまむらほくと)は、大正から昭和にかけて活躍した、
日本画の異色作家で、前衛画家の一人です。
一般には、知られず、平成19―20年神奈川県立美術館、
京都国立近代美術館が、回顧展を行い、それなりに知れわたるように
なりました。私は、平成7年に東京に行った際、某画廊でこの作家の
作品「富貴花」に出会いました。
なんと瑞々しい、富貴花が生きているように感じました。
それからは、方久斗に惚れ込み、気に入った作品を一点々購入するように
なりました。
私の所蔵する方久斗作品の中でも、最も気に入っている一点です。 
大作で、普通の扁額のサイズの倍位の作品です。
富士山が遠くに聳え、霧がかかって、雲が動いています。
そして、近くには、松林が描かれ、なんとも雄大な景色であります。
方久斗晩年の秀作だと思っています。
この作家は、即描で、動きの感じられる作品が多く、
また、それが魅力でもあります。
また、大胆な描写の中にも繊細さを兼ねた作品も多いように思います。