なにもしらずに・・ | satonaka☆音の見聞録

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何も知らずに 生きてきた
わたしは もう迷わない
 
これは或る歌の一節である。
…と、勿体ぶった言いかたはよそう、他ならぬ今は亡き歌姫・本田美奈子.さんの唄う代表曲の一つ、Amazing Grace♩だ。
 
そう、筆者は当時なにも知らなかった。彼女が無菌室に籠って命懸けで闘ってた事を…
そして、クラシックの門扉を開き二度目の起死回生を果たしつつあった事すら…
 
その闘病のさなかリリースされたのが、このミニアルバム『Amazing Grace』であり、ポップスとクラシック両部門でベスト10入りするような快挙は前例が無いそうである。
昨日は思い立って、本棚の奥から引っ張り出して久々にオーディオ機器にかけてた。
 
これも実はその前夜にNHKで放送された特集のドラマを観たからであり、歌姫役に挑む平野綾さんの演じる一番のハイライトシーンはファンの誰もが知る、闘病生活中の一時退院のとき彼女を見送る医師看護師たちの前で感謝を込めて唄った Amazing Grace♩…一同が涙したこの場面を中心に、白血病宣告から生涯を閉じるまでを駆け足で描いている。
前出のミニアルバムに記された彼女自筆のリスナーたちへのメッセージも取り上げられ、久々にCDを手に取った筆者もその文面を再び確認した。
 
尚、亡くなる前からのファンの殆どはこれを観て、当時のこの特集番組を思い出すであろう。 
昨夜の駆け足で描かれた闘病生活が、ここでは事細かなエピソードを2時間枠の中にぎっしり詰め込まれ、ファンでなくとも涙したかたは少なくないような気がする。
筆者も当然これを思い出し、身の引き締まる思いがした。
…あの訃報から間もない当時は、ただただ茫然自失になるのみだったのだが、、
 
 
 

そんな身の引き締まる思いは、これの少し以前にもあった…

今年はコロナ禍で中止が続いてきた音楽彩が3年ぶりに決行され、昨年は17回忌を催す事すら叶わなかったのもあり、大盛況のうちに幕を閉じたのだが、
 
その数日後の命日、都内某所の飲食店を兼ねた或る演奏会場にて、ひとりの歌い手さんのワンマンリサイタルが行われた。
名は敢えて出さないが関係者の中にはご存知のかたも多い筈で、出会ったのはその半年ほど前…かつて改修前はWILDCATSも演奏拠点にしていた近郊都市のライヴホールにて、馴染みのギタリストの演奏を聴きに足を運んだのだが、その歌い手さんの物販テーブルにはこの様な類いの広報物が並べられていた。
筆者は当然これに反応し、そして声をかける「ここに何故これがあるのか?」と。
聞けば彼女も歌姫・本田美奈子.を心から慕っており、この道に進んだのもその存在あってこそ!であった。
この日は出番も既に終え、実際の演奏を目にする事はできなかったが、あとからwebで検索してみるとライヴの曲目は毎回必ず美奈子カヴァーを2曲ほど入れており、アップされた動画を視聴するとマリリン♩が歌われていたアイドル時代のヒット曲が中心ではあるが、これらに関しては申しぶんのない実力で以て歌いきっている。
 
さてそのリサイタル当日だが、こういう日柄、カヴァーも少し多めに歌われるだろうと、それくらいに考えていた筆者の予想に反し、勿論オリジナルも交えるが全編とおして美奈子ナンバーのオンパレード♫🎵…俗にいう良い意味での裏切りである★
そして始まりは意外にも「新世界」から…他にも「Amazing Grace」「つばさ」「ジュピター」などクラシック時代に入ってからの楽曲を中心に構成され、音域・声量共にオリジナルを彷彿させるだけの歌唱力を有しており、うたの実力はアイドル時代のそれだけではないところを見せつけてくれた。
それにも増して特筆したいのは、難しいと解っていながら挑む気迫と、雲の上に向けて真摯な姿勢で唄っていた、それが客席にまで伝わってきた事であり、まさに素晴らしいトリビュートの一夜であった。
 
尚、この日も物販テーブルにはLIVE FOR LIFEの広報物が並べられていた。
 
 
 
 
そんな筆者は音楽については聴くのみで演奏なんてからっきしである。取り柄はこれくらいしかない…
制作中断と加筆修正を繰り返しながら、ハタから見れば何処が未完成?という人もいるが、この一枚に捉われずそろそろピリオドを打たなければならない。
やるべき事はまだまだ山ほどあるのだ。

身に引き締まる思いさせる事が数ヶ月隔てずやって来た訳だが、これをたった一つの取り柄にしっかり反映させなければ!と考えるこの頃である。

 
 
ところで筆者の住む集合住宅群の敷地内に設置された飲料水自販機の一部には、この様な物が表示されている。
近くのスーパーや病院に行く際、今や日常の風景のように視線を移しているが、昨日はちゃんと立ち止まり、ここに掲げられている意味を考えながら、番組の事、そこで流れたAmazing Grace♩を思い起こすのであった。