うらやすドキュメンタリー映画祭 | satonaka☆音の見聞録

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昨今、一般劇場でもドキュメンタリー作品の公開が多発しており、映画雑誌などに於いてもこの傾向を過剰にクローズアップし、現実を撮ってるだけにフィクションより熱い!…といった類いの文言で煽り立てることもあるが、
これってはてなマークどうなんだろう。。

たしかに昔から優れた劇場用ドキュメンタリーというのはあったが、だからといって これほどまでに氾濫はしてはいなかった。
中にはこんな内容まではてなマーク劇場で封切り料金を取るのか!(◎_◎;)…といったものまで多く散見される。
筆者もかなり以前にBSなど中心に海外からのルポルタージュものの番組を観あさってた頃もあったが、映画の予告編など見ると、それにも劣っていそうな…
つまり入場料を払ってまで観ようという気には到底なれない、そんな作品のほうが遥かに多い。酷い場合、民放の特集番組に毛の生えたようのものさえある。
…思うに、毎週ETVでも観ていたほうが よっぽどタメになるような気がする。

そんな、ドキュメンタリー作品が乱立する中、タイトルにも付したような企画が開催される時もある…
《うらやすドキュメンタリー映画祭》

ただしその氾濫した作品群を右から左へ流す訳でなく、やはり しっかりと厳選されている。
浦安に拠点を置く団体が審査したうえ、最も優れた作品にはグランプリも授与される。
…といっても、しょせん僻地の映画祭ゆえ、上映後に流された動画では、事務局の一室にて主催者が監督さんに表彰状を渡すだけの簡易的なもので、この称号を得たからといって特に何か箔が付くわけでも何でもないのだが・・

それでもこの3日間にわたる映画祭のラインナップは充実しており、封切館のほぼ同じ入場料は払うものの、これは1日に上映される4本の見放題料金である。しかもラスト1本なら千円札一枚で済み、
観客への門戸が非常に広く設けられている。ドキュメンタリーというのは啓蒙的意味合いのほうが大きいのだから、本来こうあるべきだ。


筆者は2日目に…その2本目からの観覧となったが、
最初は韓国の…政府によるメディア統制により息のかかった局の上層部に対する番組制作者たちの争いを描いたもので、
これを観ると日本のメディアが如何に腐敗しきったまま、誰もNO!の挙手もしない、立ち遅れた状況が浮き彫りになり、
また、市民団体の出資により運営されているニュース打破の立ち上げられた経緯なども知ることが出来る。
この『共犯者たち』と同時期に公開された『告白 -スパイネーション』も他の名画座で最近に観たが、ここではこのニュース打破が先陣切って取材敢行し、作品の制作に大きく貢献している。

次に観たは この映画祭のグランプリ作品『沖縄スパイ戦史』で、
太平洋戦争末期に波照間島の住民たちが西表島に強制移住させられ、その殆どがマラリヤで命を落とした惨事を取り上げる事から始まり、
中野学校が当時の沖縄…特に八重山諸島で繰り広げた遊撃戦の実態や、これを統括した大本営の闇の部分を抉り出し、
ひいては現在の八重山諸島に配置された自衛隊基地の問題にまで焦点をあて、
軍部が国民の犠牲のうえに成り立っている構図は今も昔も変わっていない事実を浮き彫りにしている。

そして最後の『華氏119』はお馴染みマイケル・ムーア監督の取材強行によるもので、ここではトランプを当選させたアメリカ社会の暗部と欺瞞に焦点をあてている。

各作品の上映後はゲストトークやビデオメッセージ等あり、それぞれの問題に深く言及し、
特に先に観た2作品ついては、海の向こうの半島や、離島での、対岸の火事では決してなく、明日は我が身である事に警鐘も鳴らしている。



この様に、厳選すれば優れたドキュメンタリー作品が揃うものなのだが、
いかんせん、いま劇場ではピンからキリまで乱立し過ぎ、封切り作品の中でかなりの割合を占めるようになっている。…やはり、これはどうかはてなマーク筆者は思う。

原因の一つとして、映画が'70年代頃までの全盛期に比べて明らかにつまらなくなってるのもある。
筆者の私感を一つ挙げると、やたらCGを多用し、かつてあった本物のダイナミズムが失われている。
それに伴い、でっかいスクリーンの大劇場も激減した。現在は周知の通り、シネコンでの部屋を選ばない限り、特に単館だと小劇場が殆どである。
これは…或る時代を境に劇映画がどんどん衰退していったのは否めない、その結果であろう。

そして封切り公開の予告編に軒を連ねるのはドキュメンタリー作品の数々・・映画って、本来そーゆーものではない筈なのだがにやり、、

もう一つ考えられる要因として、これは飽くまで筆者の推測なのだが…
テレビ番組としては以前ほど予算が取れない、そんな背景があるのでははてなマークと。。

事実、筆者が先述した海外ルポルタージュ等を観あさってた20数年前はBSや ETV に限らず、あらゆるところでドキュメンタリーが組まれていた。
だが今では ETV あたりで過去のアーカイブスも交互しながら細々と…番組欄では他に見かけるのも稀だ。
筆者は地デジ変換以来BSは受信せず、元々テレビも見るほうでないので比較は難しいが、それでも違いを感じるのは決して主観のみでないと思う。
民放の今の流れは、バラエティがいちばん手間暇かからないから…と、制作ものにはなかなか重い腰が上がらないのは、実際に多方面から耳にしている。

それでも何かの追求や啓蒙に取り組もうとしたら、取材から始まる諸々の…予算内で収まらない事をやり遂げようとしたら、他から資金を調達するしかなく、
それを何処から回収するか?となると、劇場公開やDVD化という方法を選択するのが順当になってくる。

つまり現在のメディアのありかたにも問題があるのだ。
筆者はテレビの事などあまり興味はないが、以前よりも更に堕ちるとこまで堕ちてるのであろう。
たしかにいまや大切な情報は他から収集するのが懸命で、そういう意味では昨今の若い世代はテレビなど相手にしていない筈である。

そんな堕ちたテレビ業界の中で、未だ熱意を失う事ない制作者たちは局に対して見切りをつけ、そこに活路を見い出すしかないのかもしれない。

それで封切館行けばドキュメンタリー作品の占める割合が増えているのは勿論考えものだが、
今回の映画祭のような、製作者たちからの啓蒙に一役買うのは、とても良い試みに思います。