ラジオが好きです。
中学1年の時「伊集院光のOh!デカナイト」をはじめて聞いたあの日以来、ほぼ毎日ラジオを聞いて生きています。
好きな音楽を知ったのもラジオでお笑いの楽しみを知ったのもラジオでした。
漠然と将来はラジオに関わる仕事がしたいなと、暗い少年がはじめて夢を持てた出会いだったと思います。
お笑い芸人でラジオをやりたいという人はざっと見積もって千人規模、下手したら数千人はいるのではないでしょうか。
とはいえ、よっぽどのスター選手でない限り、「好きだからやりたい」でできるほど甘い世界ではありません。
放送局は限られていますし、1日は24時間、枠も限られています。
そして、10年20年続く番組もあります。先輩方も簡単に譲ってくれるわけではありません。
そんな夢を持ってこの世界に入った僕が現在担当している番組は
(DJ兼構成)
bayfm「佐藤満春火曜ON8+1」(毎週火曜21時~生放送)
ラジオ日本「佐藤満春in休憩室」(毎週土曜深夜3時半~)
(構成)
ラジオ日本「目崎雅昭ハッピーウェッジ」
(イベントなど)
ニッポン放送「オードリーのオールナイトニッポン」(→武道館きっかけで数年ぶりに依頼があっていける時行ってます)
僕くらいの知名度と実力にしては自分の冠のついた番組を地上波で2つやっているということは
悪い結果ではないのではないかと思います。
お笑い芸人になって「ラジオのチャンス」を待っていた僕が最初に感じたのは
「あ、これは手ぶらで戦いに挑んだら全く勝てないな」という諦めにも似たそれでした。
まずトークが面白い人が山ほどいたこと。
そして先輩方の凄さが近づけたば近づくほど実感できたこと。です。
同じ土俵で戦うにはあまりにも自分の実力もセンスも足りないことに気がついてしまったわけです。
更に自分のトークスキルの伸びしろを考えてもどうしたって勝てるわけがないと。
そして生きれば生きるほど、別に自分がマイクの前に座って話す必要がなのではないかと思い始めたわけです。
ラジオに関わることができれば、裏方でも何でもいいからなんでもしたいという。
そんな僕がやったこと
1つ目は好きなことを徹底的に調べて語れるようになったことです。
僕は興味の対象が狭かったので1つのことを好きになると延々と調べてしまう癖があります。
トイレのことを好きになって調べはじめた時も
邦楽ロックを好きになってCDをとにかく買ってライブに通いはじめた時もそうでした。
好きで終わらせずに言葉にして知らない相手に届ける練習をしました。
「トイレのことだけを話すライブ」を開催したり、ライブで好きな曲をがんがんかけてそのアーティストについて話したり。
始めた時は色んな人に色んなことを言われたものですが、そんなのはどうでもいいんです。
今でこそ「アメトーーク」に代表されるような「芸人さんが何か好きなこと得意なことを語る」番組が増えたので
誰でもやるようなことになりましたが、15年前、それに向き合った人はまだあまりいなかったんですね。
そして、もう1つ僕がやったことは放送作家を兼業することです。
現状、TVも含めていくつかの番組に作家として入ってます。
もう10年ほどになりますが当時は「芸人が放送作家をやるって何?」「番組側が嫌がらない?」と
様々言われたものですが、そんなことはどうでもいいんです。
オードリーのオールナイトニッポンがはじまった時に「見学させてほしい」と懇願して
作家の藤井青銅さんに色々と教えていただくところからスタートしました。
青銅さんは「オーデカ」の作家さんだったこともあり、すごいご縁を感じましたね。
台本の書き方、企画の考え方など、知り合ったたくさんの方に教えていただきました。
そこから数年、知り合ったディレクターさん作家さんに恵まれて様々な番組に関わらせていただきました。
ラジオの放送の仕組みや台本の存在、曲をかけるタイミング、交通情報、天気・・・
とにかくこれは「経験」するしかありませんでしたので・・貴重な機会をいただきました。
作家としての幅が広がり現在は日テレの情報番組、Eテレ子供向けの脚本と
CMの企画・台本を書いたりしています。4コマ漫画の原作もやりました。
ラジオの話に戻りましょう。
要は「トイレの話だったら誰よりも面白く語る」「邦楽ロックについては誰よりも語れる」こと
そして放送作家として稼働することで多くの経験値を積むことを優先させました。
私がDJを担当している番組の1つはトイレについて語るラジオ番組、1つは邦楽をかけるラジオ音楽番組で
両方、自分で作家も担当している番組です。
僕の持つ最大限の武器を使いながら放送できているので、これ以上はなかなかないかもしれません。
あとは番組によってはアシスタントのような形で出ることもありますし
構成として番組の原稿を書いて収録に立ち会わないものもありますし。様々な形で。
ラジオを仕事にするためにやってしまいがちなミスをいくつか。
「昔、ラジオに支えられてラジオ大好きでとにかくラジオがやりたい!」と芸人さんが熱くSNSで発信し
たまたま恵まれた特番のチャンスで肩を回しすぎてコケる様子も何度も見てきました。
聞き過ぎて意気込みすぎるとこうなる現象は、もはやあるあるなのではないでしょうか。
気持ちわかります。
「ラジオをいつかやるためのトークライブ」「ラジオ的なトークライブ」を開催する人も多いです。
ラジオでのトークと客前でのトークの目線が違いすぎるため、これもダイレクトな練習にはならないと僕は思っています。
そもそもそこに気が付いてやっているかどうかでだいぶ違うと思うのですが。
あとはラジオが好きすぎて「ラジオは聞くものだ」という結論を持ってしまうこと。
上記にようにどこかで自分と今聞いている番組の天才DJと差を比べてしまいがちなのですが
そもそも勝てたもんじゃないのでどこかで諦めた上で、戦い方を見つけるしかないんです。
リスナーとしての自分に寄りすぎると難しいのかもしれません。
「ラジオが好きなのでいつかラジオの仕事をしたい」とアピールすることはとても大事。
ただ不思議なもので好きだと言えば言うほど遠ざかったりすることもあります。
上記2つのミスはそこが大きな原因かなと。
でも、言わないと誰も声をかけてくれないのです。
「誰でもいい枠」を「自分にしかできない枠」にするしかないのです。僕もずっと悩んで悩んでいます。
でも、何のためにその番組をやるのか、そこは明確になっていたほうがいいのかもしれません。
ラジオの仕事をはじめて10年経過したという節目で
なんとなく振り返ってみました。
ラジオに関わろうとしている誰かの参考になれば、とも思いますがこれはこれまでの10年間の話で
ここからの10年間の話はまた違うことになるので、全く参考にならないかもしれません。
明日はbayfmON8+1生放送。コーナー少しリニューアルしますのでお楽しみに!