志村けんさんが亡くなりました。
私は直接お会いしたこともなければ、共演もない、
ただ子供の頃から、そのたぐいまれな才能に、
お腹を抱えて笑わされていただけでしたが、
訃報を聞いて、涙が溢れて仕方ありませんでした。
志村けんさんといえば、
大河ドラマ「真田丸」のこう役を得た時、
脚本家の三谷さんから、「こういう感じでやってほしい」と、
参考にいただいたのが、「もしも元気のない芸者がいたら」の、
志村さんの演技だったので、
自分の中では僭越ながら、
ある部分、演技のお手本という存在でもあったのです。
オンエアされて、なおかつこの裏事情を情報番組等で明かしたこともあって、
三谷さんから「本家から連絡が来て、共演できたらいいですね!」とまで、
言われていたのを思い出しました。
残念ながら、それは叶いませんでしたが、
いつかお会い出来たらな~と儚い望みを抱いていました。
今、こうして追悼の番組を見ていても、
その穏やかなお人柄が伝わってくるようで、
文字通り、誰からも愛された大スターだったんだなと感じます。
今年は、コントのほかに、すでに映画や朝ドラにも出演を決められていたそうで、
いったんは「お笑いしかやらない」と決意されていたと聞きますが、
それを撤回し、演技の幅を広げて、
さらに表現者としての高みに昇ろうとされていたところなのだと思うと、
加藤茶さんのお言葉通り、まさに私たちは「日本の宝」を失ったのだと思えてきます。
……………
…しかし、なんで私はこんなに悲しいのでしょう。
これを書いていても、涙が出そうなんです。
たぶん、子供の頃に笑わせてもらった、あの記憶が、
無邪気で幸せだった気分と結びついていて、
それをいきなりぶった切りにされたような気がしているからかもしれません。
加えて、やはり理不尽な気がしてしかたないからでしょうか。
だって、つい2週間前まで現役で、ご健康で、活躍されていたのですから。
…………
最近になって、急に猛威を振るっているこのウイルス。
これに対する怒りなのかもしれません。
おまけに、このコロナウイルスでの死者には、
入院中いっさい会えない、死に目にも会えない、
遺体にも会えない、見送ることも、大がかりな葬儀も許されない、
親しかった者同志で、肩を抱き合い泣くことも許されないんです。
こんな「非人間的な」病気ってありますか
そして亡くなっていく人の不安、孤独、
残される人に言葉すらかけられないやるせなさを思うと…。
人間を最後の日まで、人間らしく保たせないコロナウイルス…。
神様はいったい何を思っておられるのでしょうか…。
今はただ、心よりご冥福をお祈りします。