この写真、最近ドラマで見ませんでしたか?
 
そう、WOWOWドラマ「真犯人」の最終話、
 
ストーリーが謎解きに差し掛かって出てきた、あの場面です。
 
私が演じた尾畑小枝子が振り返って見たもの、
 
それから刑事たちと尾畑理恵が話している間に見えていたもの、
 
それがこの光景だったのですが、
 
ちょうど撮影時、この富士山がこんなふうに見えていました。
 
ロケ場所は朝霧高原で、東京から行くと、富士山をぐるりと回った向こう側なので、
 
東側から見える富士とは全く違う趣きを見せていて、
 
雲が切れた瞬間、これが見えた時はスタッフさんたちと「おーっ」と声をあげたものです。
 
 
 
 
あの日は特別寒くて、みぞれ混じりの雪模様、
 
一瞬見えた富士山もすぐに姿を消したのですが、
 
撮影隊によると、うまく撮れなかった絵はCG処理になるかも、ということでした。
 
でもオンエアで映された光景は、私が肉眼で見たものとほとんど一緒の、
 
この迫力ある富士山だったので、それを見て再び感動してしまいました笑い泣き
 
 
 
 
「真犯人」のストーリーは、タイトルの真犯人が誰かということよりは、
 
どちらかというと、真犯人を突き止めようとする刑事たちの、
 
長きに渡る苦労や葛藤、熟練刑事の生きざまなどに焦点を当てて書かれています。
 
だから最後の謎解きで、真犯人が分かるくだりでは、
 
「なぜそんな解決法しかなかったのか?」という疑問が頭をもたげるかもしれません。
 
私は原作を読み、それが家庭内のゆがんだ形として理解できたのですが、
 
ドラマになった時に、果たしてそのへんが伝わるのかという不安はもちろんありました。
 
共演者とも監督とも話し合いました。
 
小説をドラマ化する時には、活字と映像というジャンルの違いや時間のせいで、
 
えてして原作のニュアンスを、より一般化したり、分かりやすく平たくすることが多いのですが、
 
そのおかげで、かえって人物の心の動きが見えにくくなることもあるかもしれません。
 
でも、それは映像で補っているはずなのです(できていないものもありますが)。
 
だからこそ、多くの人がいろいろなことを感じる余裕があるわけで、
 
私はそのことをこのドラマから学んだような気がします。
 
 
 
 
それは、主役のKさんが言った言葉。
 
私が「これで分かるのかしら?」と言った時、
 
「間口は広くしておいた方がいいんです。
 
見る人が、それぞれに合わせて読み取ってくれるんですよ」
 
なるほど~、と私は膝を打ちました。さすがですね。
 
確かに、見た方がそれぞれの状況や経験や思いで、感じたいように感じてくれればいいんだと、
 
こちらから「これです」と決めて押さなくてもいいんだと、すっきりしました。
 
 
 
そんなこんなで、学ぶところの多かったドラマです。
 
長距離運転もすっかり得意になりましたし(笑)、
 
30代、40代、60代という3つの世代にわたって演じたのも勉強になりました。
 
WOWOWドラマは加入していないから見られないという方もまだたくさんいるようですが、
 
じっくりいい作品を作っていることが多いので、これからも機会があれば、
 
役者としてぜひ挑戦していきたいところです。