邦画がお好きな方、ごめんなさい。
私はどうしても洋画に手が伸びてしまいます。
もちろん、お仕事の関係上、見ておくべきものは見ておりますが、
ここに書くのはやはり、「ああでもない、こうでもない」と無責任に言える、
海の向こうの映画になるでしょうかねえ
今回は、フランシス=マクドーマンドさんが今年のアカデミー賞主演女優賞に輝いた、あの
「スリー・ビルボード」と「ニューヨーク 愛を探して」です
まず「スリー・ビルボード」、ビルボードというのは看板なのですが、
文字通り、道端に立てられた3枚のでっかい看板をめぐってのお話。
娘を強姦、殺害され、犯人を何とか捕まえるべく訴え続ける母親と、
警察を頸になった後で、いい警官になろうとするダメ警官が中心です。
離婚、親子の確執、病気、田舎であるがための近所の人々の重圧など、
いかにもアメリカの片田舎らしくもあり、
今や全世界のどこでも抱えている、人間社会の悩みがたくさん詰まった中に、
ストーリーは流れて行きます。
はじめ私は、暗い人種差別の話なのかと勝手に想像していましたが、
テーマは意外に普遍的で、底には温かい人間愛が隠されているため、
時にユーモラスで、時にやるせない、
でも起こった事件の割には、終わった後なんだかやさしい気持ちになるんです。
不思議ですが、
これはフランシス=マクドーマンドさんの、女性らしからぬ(失礼)、
立ち姿や受け答えのかっこよさ、
クリント=イーストウッドばりの荒野に立つ孤独感が人々の心を打つのでしょうか。
加えて、だめだめ警官役のサム・ロックウェル
この人の歩き方からしゃべり方、悔しがり方は演技を超えていますね。
最初はどこまでも憎める「ていたらく」でありながら、
途中からなんとも言えず、かわいく見えてくるんですよね~
ほんとに素敵な俳優です。(以下、ネタバレ含みます)
あの、怒りに任せて二階から人を投げるシーンは、
彼の後からずっとカメラがついていく、長回しなんですよ
その間2回こん棒でガラスを割って、相手は瞬間に血糊をつけて、
最後に二階から投げ出される…
スタッフは緊張したでしょうねえ、一発で決めなきゃいけないから。
スタントを使ったかどうかは分かりませんが、
階段を下りていくと、ちゃんと血だらけの看板屋さんがそこでうめいている。
ここは二度見しました、はい
いや~、とにかく面白かった
お奨めです
「ニューヨーク 愛を探して」の方は、見始めて「あれデジャブ」と思いましたが、
一度レンタルで借りて、途中挫折していたのでした。
4~5組くらいの男女の独立した物語が微妙に関わり合っていて、
それがわかるまでは、なかなか感情移入もしにくいのですが、
物語が進行していくと、私なんかは涙なしには見られませんでした。
悲しくて泣いているわけではないのですが、
母と娘の話、妊娠、出産の話など、女性にとって避けられないテーマが盛りだくさんで、
どの人の物語も思い当たるところがあって、感動してしまうんです。
特に、最近撮影したNHKドラマ10「透明なゆりかご」も、
妊娠・出産にまつわる母と子の話でしたので、それも思い出し、
私自身の実人生も重ね、思うところいっぱいの映画でした
「スリー・ビルボード」も、何としても闘う母の姿に打たれたわけですし、
「母」というのは、書いても書いても描ききれない偉大な存在ですね。
これからも、私自身、表現者として関わっていきたいテーマです。
あ、そうそう、9月23日からのWOWOWドラマ「真犯人」にも、母
あ、それから明日7月7日(土)10時~WOWOW「ダブル・ファンタジー」もお見逃しなく
(こちらのテーマは「女」です)