最近、ものすごくびっくりしたことがありました
私より一回りも上の年齢の女優さんが、のっけからレイプシーンを演じている映画を観たんです。
それは映画「ELLE(彼女)」で、その主演女優はイザベル・ユペール、65歳
(制作当時は64歳?)
回想シーンの若い頃、とかではなくて、
20代半ば~後半の息子がいて、ゲーム会社の責任あるポジションで勤めている現在形のその年齢で、です。
さらに友人のパートナーを寝取ったり、会社ではセクシャルないたずらを受ける対象になったり、
でも何よりも、(この際いいとか悪いとかを抜きにして)、レイプの対象となり得るのが凄いです
この作品は、フランス映画らしく(と言っていいのかどうか)、
人の常識を覆すというか、モラルを挑発されているような気分になる映画で、
理解しがたく、感情移入しにくい登場人物で占められているところが、
軽い気持ちでお勧めできない点ではあるのですが、
皆さんはどう思われるでしょうか…
………
いや~、しかし、このイザベルさんはすごい女優です。
全然表情を動かさずに、多くのことを表現します。
その間合い、ほんの微妙な口元や目の動き、
それから身体能力が高くて、いきなり後ろから襲われて、ぶっ飛んで倒れたり、
殴られたり殴ったり、いつも10センチくらいのヒールを履いてるのも凄いし、
それに裸が
はい、もちろん脱いでます。そしてきれいなんです
うつぶせになっているところを思い切り仰向けにされるだけだって、実は体の力が必要ですし、
男性の力に対抗するとき、手首などを痛めることもあるかと思うのですが、
この方は、たぶんスタントなしに、激しい立ち回り、からみをご自身でやってらっしゃいます。
もう~、びっくり、びっくり
それでいて、息子に対する時は母の顔になり、
未来の嫁に対する時は姑の顔になり、
前述の友人には友人を超えたゲイの顔が…
顔もスタイルも40代、いって50代にしか見えないのですが、
ほかの映画ではそれなりに年相応に見える役をやってらっしゃるのです。
世の中には、こんな凄い女優がいたんですね。
私、不勉強ながら英語圏の映画ばかり見ていて、全く知りませんでした。
イザベルときたら、アジャーニさんしか知らなかったです
勉強になりました。見習いたいものです。
もちろん日本では、性の受け止め方が違うので、
こういった内容も、役どころも、女優としての求められ方もないでしょうけど、
ちょっと考え方が変わりました(笑)。
性的描写、おそるるに足りず…いやいや、それよりも、
彼女の肝の据わり方を学ぶべきだと強く思いました。
表現に対する、凄烈なまでの向き合い方。
役者というものの極道さ加減を見事に生き切っていると思うのです。
それでも私生活では家庭も持ち、子供も3人も生んでいるのですから、恐るべしですよね。
そしてその子供たちがもう俳優として同じ世界に生きているというのですから。
あ~たまげた。
私も、まだまだ。
これからは、こういう本物の背中を見つつ、
演技の本質を追求していこう。と強く思ったのでした
ちなみに、すごいヨーロッパ映画、もうひとつありました。
こちらはドイツ映画で邦題「ありがとう トニ・エルドマン」。
これは父と娘の人間ドラマです。おすすめ