きのうは「尾上(おのえ)会」でした。
私が習っている日本舞踊の宗家の発表会です。
六代目尾上菊五郎さんが創立したこの流派は、
「五代目菊五郎の芸脈に、九代目團十郎の舞踊観、さらには、
宗家藤間流の舞踊が統合された」ものであるらしいです。
私はまったくこのあたりのことを知らずに、
演劇関係の友人に誘われるまま、数年前に弟子入りしました
いまだに成り立ちも繋がりもよく分からず、
流儀も流派も分からないまま、肝心の踊りも歴史やいわれも知らないことが多く、
先輩たちの話を「はー、へー」と言いながら聞いています
ですが、きのうはやはりすごかったですね~。
家元やその先代の踊りも凄かったですけれど、
何と言っても、菊之助さんの踊りを初めて見て感心しました
着物に包まれた体つきを見るだけで、「柔らかそうな、いい筋肉だな」なんて
思ってしまう私は、ちょっと変態かもしれませんが(笑)、
力強くのびる四肢、踏む足音、お母様に似た面差しの、何とも言えない色気。
(お母様もいらしてました)
男性バレエダンサーの跳躍や回転を見るのはとても楽しいですが、
日本舞踊のいい踊り手を見るのも格別ですね
また、きのうのお囃子は格別で、
太鼓の絶妙な間、お琴の幽玄な響き、
泣いているように聞こえる笛。
お囃子に口を開けて聞き入ったのは初めての経験かもしれません。
ことに笛は、吹き手が体全体を震わせて吹いていたのが印象的でした
それから、きのうは京都先斗町(ぽんとちょう)の芸妓さんが尾上の名前で、
数名出演していらして、これがまた舞台に色香を添えていました。
そのほか、上手な方々の踊りをたっぷりと目に焼き付けました
私も早くうまくなりたぁい
ここで、一生懸命練習しよっとガンバル方向に行きそうになり、
「いやいや、ちょっと待て」と自分にブレーキをかけるのが最近の私です。
あまり、頑張っちゃいけないのです。
私の場合、大抵、「無理に」が入ってしまうから。
だから、楽しい~、もっとやりたい~くらいで力を抜いてにやにやと。
私の師匠も言ってました。
「なんとな~くやっていても、何年かしたらそれなりにうまくなっているもんよ」
一,二年前にこれを聞いた時は「はいそんなんでいいんですか」と
思いましたが、そんなんでいいんですね、きっと。
きのうはそんなふうに思いました。