スタパでおこうが侍女になった時のことを聞かれたとき、
「翼をもらったというか、足をもらったというか」と答えました。
翼は分かりやすいたとえかと思いますが、
今思うと、どっちかと言うと、足だったかなあとも思っています。
おこうの初登場の第3話を覚えてらっしゃるでしょうか。
信幸が「旅に出ることになった!」と勇んで帰って来た時、
奥から出て来るおこうは、ヘンな歩き方をしています。
これは、例の研究の成果と言いますか(笑)、
呼ばれて布団からようよう起き上がって来たという設定で、
力のないおこうはこんなふうにしか歩けないという、私なりの造形であり、
足の裏に実感のないお姫様というイメージだったのです。
それが、侍女として戻ってくるまでの一か月間で少しずつ鍛えたのでしょう(笑)、
おばばさまの看病をする時、しっかり歩くどころか、小走りさえできるようになった。
まさに「地に足がつく」ように、自分の足で立つことができるようになった。
離縁という辛い現実を受け入れる代わりに得たものは、「足」だったのかもしれません。
人魚姫は王子様のそばに行きたくて、魔女に足を貰う代わりに声を失いました。
でも結局は恋を失ったことに耐えかねて、海の泡となり消えてしまうのです。
おこうは王子様のそばに戻りたくて、妻とお姫様という立場を失った代わりに
足を得て、生きることを選び、そして何とか自立したのかもしれません。
自立することは、でも、いばらの道だったでしょうね。
次回の真田丸では、そんなおこうの道のりが、言葉に少しうかがえるかもしれません。